7月5日、グーグルは、より持続可能な未来を築くための取り組みと進捗を詳述した年次環境報告書を発表した。報告書は、特にAI技術を活用して積極的な環境対策を促進するための取り組みを紹介している。

同社は、AIを活用して気候変動対策を加速させることの重要性を認識し、第6世代のTensor Processing Unit(TPU)であるTrilliumを開発した。Trilliumは、第5世代であるTPU v5eと比べてエネルギー効率が67%以上向上しており、AIモデルの学習に必要なエネルギーと関連する排出量を大幅に削減する手法も導入している。また、データセンターでは、年間平均電力使用効率が1.10(業界平均の1.58)を記録している。

さらに、グーグルはカーボン・フリー・エネルギー(CFE)の利用を推進し、2023年には世界平均で64%のCFEを利用した。

報告書では、AIを活用した気候変動対策の具体例も紹介されている。例えば、地球水文学的AIモデルは80カ国以上の洪水を予測して地域社会の安全を支援している。また、都市交通の最適化を行うAIモデルであるGreen Lightは、信号のタイミングを最適化することで、交差点での一時停止を最大30%削減し、排出ガスを最大10%削減する可能性があるとしている。

同社は、2030年までにすべての事業とバリューチェーンでネット・ゼロを達成するという目標を掲げ、水スチュワードシップの推進、循環型経済の構築、自然と生物多様性の回復にも取り組んでいる。

【参照ページ】
(原文)Our 2024 Environmental Report
(日本語参考訳)2024年環境報告書

関連記事

おすすめ記事

  1. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(前編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  2. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(後編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  3. 【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    2025-8-6

    【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    ※本記事は、2025年7月31日時点の情報を元に作成している。今後の動向により内容は随時更新される…

ピックアップ記事

  1. 2025-9-16

    セブン&アイHD、TCFD・TNFD統合開示を公表 財務インパクトの試算と自然資本分析も深化

    9月8日、セブン&アイ・ホールディングスは、「気候・自然関連情報報告書―TCFD・TNFD統合開示…
  2. ESGフロントライン:米SEC委員長がサステナビリティ開示基準へ懸念を表明

    2025-9-15

    ESGフロントライン:米SEC委員長がサステナビリティ開示基準へ懸念を表明

    ※本記事は、ESG Journal編集部が注目のニュースを取り上げ、独自の視点で考察しています。 …
  3. 2025-9-12

    ISOとGHGプロトコル、温室効果ガス基準を統合へ 世界共通言語の構築目指す

    9月9日、ISO(国際標準化機構)とGHGプロトコルが、既存のGHG基準を統合し、新たな排出量算定…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る