3月1日、シンガポール政府は、企業が初めてサステナビリティ報告書を作成する際に、その費用の3分の1近くを補助する「サステナビリティ報告書作成補助金」を開始することを発表した。
本助成金制度は、先週政府が発表した、IFRS財団の国際サステナビリティ基準委員会(ISSB)の基準に基づき、上場企業と大規模非上場企業に対して気候変動関連の報告義務を導入するという発表に続くもので、上場企業の開示義務は2025年から、大規模非上場企業の開示義務は2027年から開始される。
通商産業省(MTI)の供給委員会討論会でのスピーチで新しい助成金プログラムを発表したロー・イェンリン国務大臣は、新たな要件を踏まえ、「企業はカーボンフットプリントを追跡・報告する能力と資源を必要としている」と述べた。
世界各地の企業が、気候変動やその他の持続可能性に関連する問題の報告を開始する規制要件にますます直面する中、非財務情報開示義務を果たすためのコストは急速に上昇している。ERMサステナビリティ研究所の調査によると、企業の発行体は、気候関連の情報開示に年間平均53万3,000ドル(約7,880万円)を費やしており、その中でも温室効果ガス(GHG)分析、気候シナリオ分析、気候リスク管理内部統制などのコストが最も大きい。同様に、米国証券取引委員会(SEC) は、気候変動報告規則(案)を遵守するための推定コストを発表しており、初年度のコストは64万ドル(約9,462万円)、発行体の年間継続コストは53万ドル(約7,835万円)と予測している。
シンガポール経済開発庁(EDB)とエンタープライズ・シンガポール(EnterpriseSG)が運営する新しい助成金は、年間売上高が1億ドルを超える大企業に提供され、最初の持続可能性報告書作成にかかる費用の最大30%を負担する。
サステナビリティ報告書は中小企業(SME)には義務付けられていないが、ロー・イェンリン女史は、中小企業がカーボン・サービス・プロバイダーと協力して最初のサステナビリティ報告書を作成するのを支援するプログラムに参加する費用の最大70%を政府が資金援助することも発表した。本中小企業プログラムは今年後半に開始される予定で、政府はEnterpriseSGを通じて、2年目以降の費用の50%も中小企業に提供する。
【参考ページ】
(原文)In charting energy transition, Singapore ‘mindful’ of impact on electricity cost: Tan See Leng
(日本語参考訳)エネルギー転換を図りながら、シンガポールは電力コストへの影響を「留意」している: タン・シーレン