WBA、EU企業サステナビリティ報告指令(CSRD)に基づく開示を評価

WBA、EU企業サステナビリティ報告指令(CSRD)に基づく開示を評価

2月19日、国際NGOであるWorld Benchmarking Alliance(WBA)は、EUの企業サステナビリティ報告指令(CSRD)で法定ルール化された欧州サステナビリティ開示基準(ESRS)に基づく開示について、WBAの「ネイチャー・ベンチマーク」が開示状況をチェックする上で役立つとの見解を発表した。CSRDにより、EU域外企業約10,000社も開示義務を負うことになる。

ネイチャー・ベンチマークは、WBAが2022年に発表した評価メソドロジーに基づいている。本プロジェクトでは最終的に、世界1,000社のスコアリングを行うことが目指されている。2022年には8つのセクター約400社、2023年には農業・食料サプライチェーン関連の世界大手350社を対象にスコアリングが実施された。WBAによれば、これらのスコアリング対象企業の約70%がCSRDの適用対象となる。

WBAは、ネイチャー・ベンチマークで使用される情報が公開情報であるため、企業は開示の質に関する課題を分析するのに適していると自己評価。また、WBAの評価メソドロジーはESRSと類似しており、特に生物多様性・生態系に関する項目は多くが一致していると述べている。さらに、サーキュラーエコノミーの項目についてもネイチャー・ベンチマークでカバーされているとしている。

WBAは、既にネイチャー・ベンチマークの評価対象企業のうち、CSRDが適用される企業のリストをまとめた「ネイチャー・ベンチマーク-CSRD企業マッピング」や、ネイチャー・ベンチマークとESRSの項目を対照した「ネイチャーベンチマーク-ESRSマッピング」を公表しており、評価結果をエクセルで提供している。

【参照ページ】
(原文)Using the Nature Benchmark to monitor the CSRD’s impact and effectiveness
(日本語参考訳)CSRDの影響と効果をモニターするためにネイチャー・ベンチマークを利用する

関連記事

おすすめ記事

  1. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(前編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  2. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(後編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  3. 【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    2025-8-6

    【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    ※本記事は、2025年7月31日時点の情報を元に作成している。今後の動向により内容は随時更新される…

ピックアップ記事

  1. 2025-9-16

    セブン&アイHD、TCFD・TNFD統合開示を公表 財務インパクトの試算と自然資本分析も深化

    9月8日、セブン&アイ・ホールディングスは、「気候・自然関連情報報告書―TCFD・TNFD統合開示…
  2. ESGフロントライン:米SEC委員長がサステナビリティ開示基準へ懸念を表明

    2025-9-15

    ESGフロントライン:米SEC委員長がサステナビリティ開示基準へ懸念を表明

    ※本記事は、ESG Journal編集部が注目のニュースを取り上げ、独自の視点で考察しています。 …
  3. 2025-9-12

    ISOとGHGプロトコル、温室効果ガス基準を統合へ 世界共通言語の構築目指す

    9月9日、ISO(国際標準化機構)とGHGプロトコルが、既存のGHG基準を統合し、新たな排出量算定…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る