10月19日、英国の広告規制機関である広告基準庁(ASA)は、HSBCのグリーン活動を強調する広告は、HSBCが排出集約型の産業や企業への融資活動を継続していることに関する情報が省略されており、誤解を招く恐れがあるとの判断を示した。
HSBCは、本広告を二度と表示しないこと、また、今後環境に関する主張を行うマーケティングコミュニケーションにおいて、CO2や温室効果ガス(GHG)排出への貢献度について説明することを命じられた。
近年、グリーンウォッシュの懸念から、金融機関やその他の企業に対する規制当局の監視が厳しくなっている。今年初めには、グリーンウォッシング疑惑に関する調査の一環として、ドイツ銀行の投資部門であるDWSのフランクフルト事務所に警察が踏み込み、この一連の騒動を受けてDWSのCEOが辞任した。先月には、ファッション小売業のH&Mが、オランダの規制当局であるオランダ消費者市場庁(ACM)の調査を受けて、同社の商品からサステナビリティに関するラベルを取り除くと発表している。
HSBCは、2020年に気候変動融資目標を発表し、2030年までに7,500億ドル(約112兆円)から1兆ドル(約150兆円)の融資と投資を行って顧客の低炭素化を支援し、同時に融資活動をパリ協定の目標に一致させると約束していた。
しかし、HSBCの気候変動に関する目標は、ShareActionのような持続可能な投資団体から批判を受けた。団体はHSBCは欧州で2番目に化石燃料を扱う金融機関であるとして、化石燃料資産へのエクスポージャーを削減する戦略を公表するよう求めるキャンペーンを展開した。HSBCはその後、ShareActionの支持を受けて、化石燃料への融資を段階的に縮小し、融資サービスを提供するかどうかを評価するために顧客の移行計画を見直すという公約を発表した。また、炭素集約型の石油・ガスおよび電力・公益事業部門に対する排出削減目標の融資や、石炭火力発電および一般炭採掘への融資を段階的に廃止する約束も発表している。
【参照ページ】
(参考記事)HSBC ads banned for misleading consumers about green credentials
(日本語訳)英国の広告規制機関、グリーン活動を強調するHSBCの広告を誤解を招くとして禁止に