2月、2050年までの投融資ポートフォリオのカーボンニュートラルにコミットする銀行のイニシアティブ「Net-Zero Banking Alliance(NZBA)」は、自動車セクター向け融資のファイナンスド・エミッションに関する気候変動目標設定に関するペーパーを発行した。
NZBAは2023年12月に不動産セクター向けのペーパーを発行しており、今回が第2弾となる。本ペーパーは、完成車メーカーとOEM生産メーカーを対象としており、対象範囲、ポートフォリオの指標、データ、シナリオ、新たな行動、共通の課題、政策、データ、その他のギャップに関する主要な検討事項が記載されている。
本ペーパーの主なポイントは、車両のライフサイクル全体の排出量に焦点を当てたことである。ファイナスド・エミッション目標設定のKPIでは、総量と、走行距離を分母とした原単位の目標設定が許容されるとしている。
シナリオについては、国際エネルギー機関(IEA)の「NZE2050」シナリオとNGFS(環境リスクに係る金融当局ネットワーク)の「ネット・ゼロ」シナリオの2つに言及し、他にも科学的根拠に基づく削減目標イニシアティブ(SBTi)やOne Earth Climate Modelも紹介している。そして、セクター全体の排出削減量を把握したうえで、個別企業に割り当てていくアプローチを提唱している。
NZBAの自動車ワーキンググループが作成したこのペーパーは、バークレイズとINGがプロジェクトを主導し、事務局にはロイズ・バンキング・グループ、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)、サンタンデール、スタンダードチャータード、スコシアバンク、TDバンク、BNPパリバ、イタウ・ウニバンコが参加した。他にも、Ceres、Transition Pathway Initiative(TPI)、国際クリーン交通委員会(ICCT)、国連環境計画(UNEP)、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)もレビューした。
【参照ページ】
(原文)Climate Target Setting for Automotive Sector Financing