BASFとIRRI、水稲からの温室効果ガス削減に向け共同研究「OPTIMA Rice」開始

1月31日、 BASF(ドイツ)と国際稲研究所(IRRI)は、水稲からのメタン等の温室効果ガス削減に向けた共同研究「OPTIMA Rice」を開始したと発表した。本共同研究は、両者の研究センターがあるフィリピン・ラグナ州で実施される。

世界の水稲生産は、農業セクターからの温室効果ガスの約10%を占めており、BASFは2030年までに作物1トン当たりの温室効果ガスを30%削減することを目標として掲げている。今回の共同研究は、その一環として行われる。

BASFとIRRIは、直播イネ品種、窒素安定剤、養分・残渣管理、農家に合わせた新たな化学、交互湿潤乾燥管理(AWD)などの節水技術など、スマート農業化を模索する。また、IRRIは温室効果ガス推計アルゴリズムを含む生態生理学モデル「ORYZA」の改良にも着手する。BASFは、同社ツール「AgBalance」で排出原単位を推定する他、IRRIとの協働で自社製品の実証、農業と温室効果ガス排出量データの取得を進める。

また、BASFのコーディング事業部門は1月30日、業界団体、損害保険会社、修理事業者、自動車メーカー、リース事業者との協議を進め、自動車塗装での統一サステナビリティ基準を策定すると発表した。この基準では、事故車修理での排出量削減を目指し、生態系、経済、社会問題の各分野から定量的・定性的基準を策定する。同時に、BASFコーティングスのデジタル・ビジネス・ソリューション「Body Shop BOOST」の一環として、スイスとオーストリアで基準の実証が行われる。

さらにBASFは、グリーン水素と二酸化炭素からのeメタノール製造を強化する。1月29日には、中国バッテリー大手の遠景能源(エンビジョン)との協働も発表された。BASFは同社の新たな触媒技術「SYNSPIRETM」を提供し、遠景能源のエネルギー管理システムと統合して、グリーン水素と二酸化炭素からのeメタノール製造を行う。2024年には、中国・モンゴル自治区南部の赤峰市にある遠景能源の工場で、プロセス設計の実証も実施される予定である。

【参照ページ】
(原文)BASF and IRRI join forces to reduce carbon footprint of rice

関連記事

おすすめ記事

  1. TCFD×TNFD統合開示ガイド:いま企業が備えるべき実務対応とは?

    2025-8-20

    TCFD×TNFD統合開示ガイド:いま企業が備えるべき実務対応とは?(再掲)

    ※2025年5月28日公開済みの記事を一部更新し再掲している。 企業のサステナビリティ関連の…
  2. 【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    2025-8-6

    【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    ※本記事は、2025年7月31日時点の情報を元に作成している。今後の動向により内容は随時更新される…
  3. TCFD・IFRS・CSRDの移行計画とは:業界別に考える開示ポイント

    2025-7-10

    TCFD・IFRS・CSRDの移行計画とは:業界別に考える開示ポイント

    ※本記事は2024年10月の内容にGX-ETSに関する内容を追記し再掲載している。(2025年7月…

ピックアップ記事

  1. サステナビリティ開示におけるタクソノミ導入と実務対応のポイント

    2025-8-22

    サステナビリティ開示におけるタクソノミ導入と実務対応のポイント

    2025年8月8日、金融庁は、「2027年版EDINETタクソノミの開発案」を公表した。これは、I…
  2. 2025-8-19

    PR【対談&ワークショップ】第一生命が語る「ESG開示」と「企業価値向上」

    毎回満員御礼でご好評をいただいているESG Journal 会員向けのESG Journal …
  3. 2025-8-18

    金融庁、EDINET新タクソノミ案公表 27年版ではサステナ情報開示も検討

    8月8日、金融庁は企業の有価証券報告書などで利用される電子開示システム「EDINET」の基盤となる…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る