1月9日、世界経済フォーラム(WEF)は、医療システムのデジタルトランスフォーメーション(DX)とAI主導の変革を推進する新たなイニシアティブ「デジタルヘルス変革イニシアティブ」を設立した。本イニシアティブは、WEFとボストンコンサルティング・グループ(BCG)が共同で立ち上げ、ヘルスケア分野においてデジタルツールやAIなどの新技術の導入と、官民の連携を通じて課題解決を目指している。
同イニシアティブが公表した報告書では、持続可能な医療システムの実現に向けた3つの課題とそれを解決するためのイネーブラーとしての5つの要素が概説されている。1つ目の課題は医療に関するコスト増と人材不足であり、OECD加盟国では医療費がGDPを上回り、2030年までには医療人材が1,000万人不足するとされている。
2つ目の課題は慢性疾患患者の増加であり、平均寿命の増加に伴い慢性疾患の医療費がEUや米国において医療費全体の大部分を占めると予測されている。また、3つ目の課題は医療へのアクセスの不平等であり、OECD全体で医療アクセスの格差が存在し、予防医療や検診が受けられない人々が重症化しやすいと指摘されている。
これらの課題に対処するために、報告書は「データ」「テクノロジーと分析」「資金調達とインセンティブ」「デジタルとオフラインのハイブリットヘルスケアの構築」「規制とポリシー」の5つの要素を提言しており、国や企業の事例を紹介しながら各ステークホルダー毎に必要なアクションを示している。本イニシアティブと報告書を通じて、持続可能な医療システムの構築に向けての具体的な方針が提示されている。
【参照ページ】
(原文)World Economic Forum Launches New Global Initiative to Advance Digital and AI-Driven Transformation of Healthcare Systems
(日本語参考訳)世界経済フォーラム、医療システムのデジタル化とAI主導の変革を推進する新たなグローバル・イニシアティブを発足