11月6日、電池材料のリサイクルと再利用に特化したクリーンテック新興企業プリンストン・ニューエナジー(PNE)は、シリーズA資金調達ラウンドの初回クロージングで1600万ドル(約24億円)を調達したと発表した。
リチウムイオン電池は、EVや太陽光発電のバックアップ、携帯電話やノートパソコンなどの電子機器に使用されている。これらの電池の原材料を採掘することは、人権侵害のリスクや環境破壊など、一連の持続可能性に関する課題に直面している。再生可能エネルギーへの移行においてバッテリーの環境破壊を軽減するためには、企業はバッテリーとその構成部品や材料をリサイクルする実現可能で経済的な方法を作り出さなければならない。
2019年にプリンストン大学からスピンアウトしたPNEは、低温プラズマ支援分離プロセス(LPAS)を活用したリチウムイオン電池のリサイクルに注力しており、同社によると、リチウムイオン電池のリサイクルに一般的に関連するコスト、環境廃棄物、二酸化炭素排出量を大幅に削減する。同社によると、この技術により、水使用量を70%削減し、エネルギーとCO2排出量を80%削減できるほか、バージン材料と比較して48%、水冶金によるバッテリーリサイクルと比較して29%のコスト削減が可能になるという。さらに、PNEによると、このアプローチにより、従来のリサイクル方法と比較して、より高い重要材料回収率と優れた材料性能が可能になるという。
PNEは、今回の資金を新たなリサイクル施設の建設と設備調達に充て、処理能力をさらに向上させ、会社の運営をサポートする。
今回の資金調達ラウンドは、テクノロジー・サービス・プロバイダーのウィストロン株式会社が主導し、新たな機関投資家として本田技研工業株式会社、GSフューチャーズ、Traxys North Americaが参加したほか、Greenland Technologies、Shell Ventures、WorldQuant Venturesといったこれまでの投資家も参加した。
PNEは、1,600万ドルのシリーズAおよび総額700万ドル(約10億円)の過去のシードラウンドに加えて、米国エネルギー省からバッテリーリサイクルに関する複数の研究助成金を獲得しており、直近では1,200万ドル(約18億円)と437万5,000ドル(約6億円)であった。PNEは、外国の重要素材への米国の依存を減らし、国内の製造能力を拡大し、米国における質の高いクリーンエネルギー雇用の創出を強化することに尽力している。
【参照ページ】
(原文)Princeton NuEnergy (PNE) Secures $16 Million in Series A Funding to Advance Lithium-ion Battery Direct Recycling Technology
(日本語参考訳)プリンストン・ニューエナジー(PNE)がリチウムイオン電池のダイレクト・リサイクル技術を推進するため、シリーズAで1600万ドルの資金を獲得