10月19日、世界保健機関(WHO)は、健康のための人工知能(AI)に関する規制上の重要な検討事項を列挙した新しい出版物を発表した。本書では、「AIシステムの安全性と有効性を確立すること」「適切なシステムを必要とする人々に迅速に提供すること」「開発者、規制当局、製造業者、医療従事者、患者を含む関係者間の対話を促進すること」3つの重要性を強調している。
WHOは、臨床試験の強化や、診断・治療等での質の向上、医療従事者のサポート等のAIの可能性を認識している。例えば、AIは、網膜スキャンや放射線画像の解釈など、専門医が不足している環境において有益である。一方で、それらがどのように機能するかについて十分な理解がないまま導入されることの弊害も多く、適切な規制が必要とした。
AI健康技術の急速な台頭を背景として、本書は、各国政府や規制当局が、AIに関する新たなガイダンスを策定したり、国や地域レベルで既存のガイダンスを適応させたりする際に従う主要原則の概要を示すことを目的としている。特に、6つの健康AI規制のための重点分野を掲げた。
- 透明性と文書化:信頼を醸成するため、製品ライフサイクル全体の文書化や開発プロセスの追跡などの重要性を強調している
- リスク管理:「意図された使用」、「継続的な学習」、人間の介入、トレーニングモデル、サイバーセキュリティの脅威などの問題に包括的に対処し、モデルを可能な限り簡素化する
- AI使用目的の明確化:安全性を保証し、規制を促進するために役立つ
- データ品質:システムが偏りやエラーを増幅しないようにするため、システムをリリース前に厳格に評価するなど、データの質にこだわる
- プライバシーとデータ保護:欧州の一般データ保護規則(GDPR)や米国の医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律(HIPAA)など、重要で複雑な規制がもたらす課題には、プライバシーとデータ保護のために、管轄範囲と同意要件の理解に重点を置いて対処する
- コラボレーション:規制機関、患者、医療従事者、業界代表者、政府パートナー間のコラボレーションを促進することで、製品やサービスがそのライフサイクルを通じて規制に準拠していることを保証できる
【参照ページ】
(原文)WHO outlines considerations for regulation of artificial intelligence for health
(日本語参考訳)WHO、健康AI規制に関する検討事項を概説