10月9日、航空宇宙大手のエアバスは、イージージェットがエアバス・カーボン・キャプチャー・オファーの炭素除去イニシアティブに参加する世界初の航空会社となり、航空会社の脱炭素化目標の達成を支援するため、直接大気炭素回収・貯留(DAC)を活用すると発表した。
航空業界は、2022年に世界のエネルギー関連CO2排出量の3%近くを占め、排出量はパンデミック前に10億トンを超過。パンデミック後の旅行ブームにより、2022年の排出量はパンデミック前の80%に達した。航空業界は、主に炭素回収とSAFによって、2050年までに排出量をネット・ゼロにするという目標を掲げている。
DACテクノロジーは、高出力の抽出ファンを使って、大気から直接CO2をろ過・除去する。大気から除去されたCO2は分離され、地下貯水池に貯蔵される。航空機の運航中に大気中に放出されるCO2は、発生源から直接除去することはできないが、DACを使えば、大気中から同量のCO2を抽出することが可能である。国際エネルギー機関(IEA)によれば、回収されたCO2は地下貯水池に貯蔵されるのではなく、合成航空燃料の製造に利用され、業界の排出量を削減することができるという。
イージージェットは2022年にネット・ゼロ・ロードマップを発表し、気候への影響に対処、2050年までにネット・ゼロ・エミッションを達成するための計画を概説した。ロードマップによると、同社は2050年までに乗客1人当たりの炭素排出量を78%削減することを目標としており、残留排出量は炭素除去技術によって大気中の炭素を物理的に除去し、地下に永久保存することで対処する。
イージージェットは当時、炭素除去技術の開発を支援する契約をエアバスと結んだことも発表。イージージェットは、検証された耐久性のある炭素除去クレジットの事前購入の可能性について交渉することを約束するエアバスとの協定に署名した最初の航空会社のひとつである。
炭素排出権はエアバスのパートナーである1PointFiveによって発行される。エアバスと1PointFiveとの契約には、4年間で納品される40万トンの炭素除去クレジットの事前購入が含まれている。1PointFiveは、エネルギー大手オクシデンタル(Oxy)の炭素回収に特化した子会社で、現在、テキサス州パーミアン盆地に世界最大規模のDAC施設を建設中、フル稼働時には年間50万トンのCO2を回収するよう設計されている。
【参照ページ】
(原文)easyJet signs up to Airbus’ pioneering carbon removal solution
(日本語参考訳)イージージェットとエアバス、DAC炭素回収技術でフライト排出量を相殺する契約を締結