TPT、気候移行計画開示のための「ゴールド・スタンダード」フレームワークを発表

10月9日、英国の移行計画タスクフォース(TPT)は、企業が気候変動移行計画を策定・報告するための「ゴールド・スタンダード」を提供することを目的とした、TPT情報開示フレームワークの最終版を発表した。

本開示フレームワークの発表は、世界的に企業がネット・ゼロへのコミットメントを発表する機会が増えている中、多くの企業がこれらの目標を達成するための戦略を明確化・開示しておらず、利害関係者に報告するための一貫した標準化された方法が欠けていたことによる。

TPTによると、本枠組みは「強固で信頼できる移行計画の開示のためのグッドプラクティスを定める」ものであり、企業の財務報告におけるサステナビリティ関連開示の一部として移行計画を報告することは、組織の変革を支援するための行動計画を設定すること、資本配分の意思決定を可能にするために投資家や貸し手のための情報を改善すること、経済全体の移行の方向性を理解し管理するために政策立案者や規制当局を支援することなど、幅広い目的に役立つ。

本枠組みは、3つのコアとなる「指針」を中心に構築されており、「野心(Ambition)」は、自社の事業とバリューチェーンの脱炭素化、気候変動に関連するリスクと機会への対応、経済全体の転換への貢献という、企業の戦略的野心に関する開示を包含する。「行動(Action)」は、事業、製品・サービス、方針、財務計画、バリューチェーン、産業、政府、社会とのエンゲージメント戦略にわたる企業の実行計画に関する要素を含む。説明責任(Accountability)」は、戦略的野心に向けた進捗を推進・監視するために使用される様々な指標や目標、ガバナンス構造の中で企業がどのように移行計画を組み込んでいるかをカバーする。

TPTは、本フレームワークは、最近公表されたIFRS財団の気候変動関連開示基準との整合性やその上に構築されたものであり、また、ネット・ゼロ移行計画のためのグラスゴー・ファイナンシャル・アライアンス(GFANZ)のフレームワークやガイダンスを活用するなど、国際基準に沿ったものとなっていると付け加えた。IFRSの国際サステナビリティ基準委員会(ISSB)とGFANZは、ともにTPTのメンバーである。

【参照ページ】
(原文)The TPT Disclosure Framework
(日本語参考訳)TPT、気候移行計画開示のための「ゴールド・スタンダード」フレームワークを発表

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