12月15日、IFRS財団の国際サステナビリティ基準委員会(ISSB)が開発中の新しい気候変動開示基準に基づいて報告する企業は、Scope3排出量、つまり企業のバリューチェーンに由来し、企業が直接管理できない排出量について報告する期間が1年延長されることが明らかになった。
昨年のCOP26で発足したISSBは、現在、企業の持続可能性と気候関連の開示に関する最初の2つの基準案を今年末に策定し、早ければ2023年に最終基準を発行することを目指しているところである。欧州、英国、米国をはじめとする世界の主要な管轄区域の規制当局は、企業に対する持続可能性報告義務付け要件を導入または準備中であり、そのほとんどがISSBの基準に大きな影響を受けることになる。
スコープ3排出量に関する報告要件は、新たな情報開示制度の中で最も議論を呼んでいる側面の一つである。スコープ3は、多くの企業のカーボンフットプリントの大部分を占めるが、サプライチェーンや顧客による製品使用など、企業が直接コントロールできない領域で発生するため、一般的に追跡や計算が最も困難な排出量である。
ISSBは10月に、スコープ3排出量の開示が新しい気候変動報告基準に含まれることを確認したが、企業がスコープ3の要件を適用するのを助けるために、「救済規定」を策定するとも述べた。
12月の会合で示された一連のガイダンスと救済措置の一部として、ISSBは、企業がプロセスを実施する時間を与えるため、気候変動基準の実施から最低1年間の一時的な免除に合意した。
また、ISSBは、企業が異なる報告サイクルを持つバリューチェーン企業から情報を収集する場合、その報告サイクルと一致しない情報を含めることを許容することを示した。
さらに、ISSBは、金融機関のスコープ3排出量の大部分を占める融資による排出量について、金融セクターの作成者のポートフォリオ排出量の測定と開示を支援するために、提案された要求事項を改良することに合意したと報告した。
【参照ページ】
(原文)ISSB announces guidance and reliefs to support Scope 3 GHG emission disclosures