ESMA、ファンド名におけるESG用語の使用が4倍増加していることを発見
10月2日、EUの市場監督機関である欧州証券市場庁(ESMA)が発表した新たな調査によると、欧州の投資ファンドの名称にESG関連用語が使用されている割合は、過去10年間で4倍以上に増加している。
同調査では、ファンド・プロバイダーがより一般的なESG用語を好んで使用し、投資家がファンドの名称と投資対象が一致しているかどうかを確認することを難しくしている可能性があること、個人投資家を対象とした一部のファンド文書では、機関投資家向けの文書よりもESGの主張が使用されている可能性が高いことも判明した。
本調査は、ESMAによる投資運用セクターのグリーンウォッシュ・リスクに関するモニタリングの一環である。ESMAは2022年、持続可能な金融ロードマップを発表しており、その中でグリーンウォッシュへの取り組みを重要な優先事項として掲げているほか、最近では投資ファンドの名称におけるESGやサステナビリティに関連する用語の使用に関する規則案のコンサルテーションを開始している。
ESMAの調査は、ファンド運用業界におけるグリーンウォッシュに焦点を当てたもので、世界の規制当局が「ESG」「グリーン」「サステナブル」といった用語で販売される投資商品やサービスの急増に関連する問題に対処しようと動き出している中で行われた。
同報告書は、世界のサステナブル・ファンド資産が過去3年間で3倍に増加し、2兆1,000億ユーロ(約300兆円)を超えたことを指摘し、EUでは過去6年間、四半期ごとに一貫してESG関連用語をファンド名に含むファンドの需要が他のファンドの需要を上回っていることを明らかにした。
新たなファンドの開発に加えて、多くの商品がサステナビリティ関連の用語を使用した名称に変更されており、EUを拠点とするアクティブ運用の株式、債券、混合資産ファンドの4.6%に相当する1,356本のファンドが2018年以降、名称にESGの単語を追加しており、特に2021年と2022年に急増している。
本調査によると、ESG用語をファンド名に含めることを選択したファンドの大半は、「ESG」や「サステナブル」など、より一般的なESG関連用語を使用しているが、2019年以降、より具体的な環境関連用語の使用が増加していると指摘している。ESMAは、より一般的な単語を使用することで、ファンドマネジャーがより柔軟に資産配分を行い、分散されたポートフォリオを目指すことが可能になると指摘する一方で、使用される単語がより具体的であれば、投資家はファンドの保有資産が名称に沿ったものであるかどうかをより容易に確認することができるとも述べている。
ESMAの調査では、自然言語処理(NLP)技術を適用して10万以上のファンド文書を評価した結果、個人投資家向けに販売されるファンドは、機関投資家向けに販売されるファンドと比較して、主要投資家情報文書(KIID)や主要情報文書(KID)などの標準化された文書において、より多くのESGの主張と関連していることも分かった。
【参照ページ】
(原文)ESMA finds increase in use of ESG-related language in the EU fund industry
(日本語参考訳)EU市場規制当局、ファンド名におけるESG用語の使用が4倍増加していることを発見