IFRS財団とTNFD、自然関連財務情報開示で正式に協働へ

4月9日、IFRS財団と自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)は、自然資本に関する情報開示の国際的な整合を目指し、正式に協働することを発表した。両者は覚書(MoU)を締結し、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)の枠組み内で、TNFDの提言を活用した取り組みを進めていく。

本協働は、自然関連のリスクや機会を適切に資本市場に伝えるためのものであり、企業による生物多様性・生態系への影響や依存を定量・定性の両面から把握・開示することを支援する。ISSBは今後、TNFDが2023年に公表した提言の有効性を検討し、ISSBの基準である「IFRS S1」および「S2」への反映を目指す。

IFRS財団は今回のMoUについて、「市場参加者がより一貫性のある自然関連情報にアクセスできるようにすることは、持続可能な投資判断に不可欠だ」とコメントした。実際、2024年から始動したISSBの「生物多様性・生態系・生態系サービス(BEES)」研究プロジェクトにも、TNFDの知見が既に活用されている。

TNFDもまた、今回の協働を通じて、各国規制当局や企業、投資家が共通の基準で自然資本に関する情報を評価できる未来に近づけるとして歓迎の意を表明した。

この動きは、気候変動に続く「次の開示基準のフロンティア」として、自然関連リスクへの関心が高まる中、国際的な基準の整合と信頼性を高める重要な一歩といえる。

(原文)IFRS Foundation and TNFD formalise collaboration to provide capital markets with high-quality nature-related information

関連記事

おすすめ記事

  1. 【最新】TISFDとは?概要・指標から国内外基準との関連まで徹底解説

    2025-9-11

    【最新】TISFDとは?概要・指標から国内外基準との関連まで徹底解説

    気候変動や自然資本など、環境領域に関する開示が進みつつある中、次なるテーマは「社会」の領域。TIS…
  2. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(前編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  3. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(後編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…

ピックアップ記事

  1. 2025-11-6

    CDPとTNFD、2025年質問票の対応マッピングを公開

    10月22日、CDPとTNFDは、CDP 2025年版企業質問票とTNFD開示推奨項目・指標との対…
  2. 2025-11-6

    ISSB、国際的なサステナビリティ開示の「グローバル・パスポート」構想を発表

    10月30日、ISSB(国際サステナビリティ基準審議会)は、ロンドンで開催された「IFRSサステナ…
  3. TNFD・自然移行計画の5つの構成要素と先行事例/実践例の紹介

    2025-11-5

    TNFD・自然移行計画の5つの構成要素と先行事例/実践例の紹介

    ※2025年11月4日公開済みの記事にTNFDが発行した「Nature in transition…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る