【2025年11月情報更新版】EUDR簡素化と再延期の最新動向/企業の対応ポイントを整理

【新着】EUDR簡素化が公表でどう変わる?最新動向と企業の対応ポイントを整理

※本記事は、2025年4月掲載の記事に2025年11月時点の変更点について追記・編集したものである。

EUで導入予定の森林破壊防止規則(EUDR:EU Deforestation Regulation)は、2025年4月に簡素化措置が発表されたのに続き、2025年11月には欧州議会が簡素化パッケージと遵守期限延長を支持する決定を行うなど、約半年の間に制度の動向が揺らいでいる。結局のところどのような対応をすればよいのか、わかりにくい状態にあると言える。

本記事の前半ではEUDRの概要と延期や対象について改めて整理をしつつ、後半では簡素化の主な4つのポイントや2025年11月以降の延期に関する欧州議会の最新決定および今後の対応指針を説明する。

同時並行して、CSRD・ESRSやCSDDDでも簡素化の検討が進む中、欧州におけるサステナビリティ規制の最新動向を正確に把握しておくことが求められている。なお、文末には細かな実務対応ポイント(梱包の考え方など)に関する参考情報や参照先も載せているので注目されたい。

|EUDRとは

EUDR(EU Deforestation Regulation/欧州森林破壊防止規則)は、パーム油、牛肉、木材、ココア、コーヒー、ゴムおよびその関連商品の輸出入において、事業者や個人が「森林破壊に関与していない」ことを示すDue Diligence Statements(DDS:デューデリジェンス・ステートメント)の提出を求める規制である。

2023年に承認され、当初は2024年12月の施行が予定されていたが、国際的な準備状況を考慮し、欧州委員会は2024年10月に施行を1年延期することを発表した。さらに、1年の延長が欧州議会において提案されており、施行は2026年になる可能性もある(2025年11月時点)

EUDRでは、自社製品が「2020年12月31日以降に森林破壊が行われた土地で生産されていない」ことを企業が証明する必要がある。そのために、企業にはデューデリジェンス(DD)義務が課せられ、製品の原産地情報、生産地の地理座標、生産期間、森林破壊との関係性の有無などを含む報告書を作成・提出しなければならない。

|対象企業と実施スケジュール

EUDRの義務は業界からの実務的懸念と中小企業への配慮を受け、以下のとおり欧州委員会は4月に1年間の延期を決定したが、11月には、その決定からさらに1年の延長の決議が欧州議会にて支持されている。

– 大企業:2025年12月30日(2026年12月*)

– 中小企業:2026年6月30日予定(2027年中*)

(*)は、最新動向

本規則では、EU域外の事業者であっても「EU内で最初に製品を市場に出す自然人または法人」を適用対象にするとあり、EU域内で販売されているか、域内から輸出する対象品を扱う全ての企業や個人が対象になる。EU域内で事業を展開する日本企業にとっても関連するものである点に注意が必要だ。

なお、物流や技術的サポートのみ行うサービス提供者(例:貨物代理店、海運会社)は、適用対象外である。

以降、EUDRがどのように簡素化される予定であるかについて、詳細を解説していく。


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執筆者紹介

竹内 愛子 (ESG Journal 専属ライター)
大手会計事務所にてサステナビリティ推進や統合報告書作成にかかわるアドバイザリー業務に従事を経て、WEBディレクションや企画・サステナビリティ関連記事の執筆に転身。アジアの国際関係学に関する修士号を取得、タイタマサート大学留学。専門はアジア地域での持続可能な発展に関する開発経済学。

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