8月17日、欧州委員会は、欧州の生産者が支払う炭素価格をEU域外の生産者と同等にすることを目的とした、輸入品に対するEUの新たな炭素税である炭素国境調整メカニズム(CBAM)に基づき、製品の輸入業者に対する報告規則を採択したことを発表した。
新規則は、今年10月から輸入製品の組み込み排出量に関するデータ収集を開始し、2024年1月末までに報告を開始することを企業に義務付けるもので、2025年末までのCBAMの過渡期を通じて適用される。
今年初めにEUで採択されたCBAMの主な目的は、「炭素リーケージ」(企業が排出集約型商品の生産を、環境・気候政策がより緩やかな国に移すこと)を回避することである。
CBAMは、EU域内排出量取引制度(ETS)(EU域内のキャップ・アンド・トレード方式による炭素価格決定メカニズム)の下で運用されているEU製品に支払われる炭素価格と、他国で生産された製品に支払われる炭素価格を等しくするもの。EU域内に輸入する企業は、その差額を補うためにCBAM証明書を購入する必要がある。
新たに採択された規則では、輸入業者はEUに輸入される商品の組み込み排出量を報告することが義務づけられ、その情報には商品の原産国、商品が生産された施設、施設の主要な排出源の地理的座標が含まれる。輸入者は、製品の生産工程を含む直接排出量(1トン当たりのCO2排出量として表示)と間接排出量(生産工程の電力消費量を含む)を報告することが求められる。
CBAMはまず、鉄鋼、セメント、肥料、アルミニウム、電力、水素、ねじやボルトなどの一部の川下製品など、炭素集約的なセクターの特定の製品に適用される。2026年までの移行段階では、輸入業者の義務は製品排出量の報告のみに限定される。
また、欧州委員会は、輸入業者と第三国の生産者が新規則を実施するためのガイダンスを発表し、輸入業者が必要な計算を行い、報告するための専用のITツールを、研修資料、ウェビナー、チュートリアルとともに現在開発中であると述べた。
【参照ページ】
(原文)Commission adopts detailed reporting rules for the Carbon Border Adjustment Mechanism’s transitional phase
(日本語参考訳)EU、新輸入炭素税に製品排出量報告を義務付ける規則を採択