11月17日、国連グローバル・コンパクト(UNGC)は、国連持続可能な開発目標(SDGs)のゴール6「水・衛生」の目標達成に向け、企業向けアクションガイドを発行した。
UNGCは9月、SDGs達成に向け、企業に9つの具体的ゴールを掲げたイニシアティブ「Forward Faster」を開始した。そのひとつに「水レジリエンス」の項目があり、「グローバルな事業とサプライチェーン全体で水レジリエンスを構築し、2030年までに100以上の優先度の高い水ストレス流域で、集団としてポジティブな水インパクトを達成するために連携する」という目標が掲げられている。
国連は、SDGsのうち、2030年に向けて軌道に乗っているのはわずか15%に過ぎないとし、SDGs6を通じて2030年に設定された水と衛生の目標を達成するためには、世界的な努力を4倍にする必要があると見ている。また、2030年までに、利用可能な水と水需要との間に40%のギャップが生じるとも推定。国内総生産(GDP)は、水リスクの結果、2050年までに一部の地域で最大6%減少する可能性がある点にも言及した。
本ガイドは、2030年までの企業アクションについて、以下のように「ジェンダー平等」「気候変動対策」「生活賃金」「水資源回復力」「金融・投資」の5つの主要分野に分けられている。
- 水関連基準の導入:企業は、水の使用と保全に関する業界の規制や世界基準を熟知しておく必要がある。これらのガイドラインを遵守することで、企業は環境への影響を最小限に抑え、廃棄物を削減し、アライアンス・フォー・ウォーター・スチュワードシップ(AWS)の国際ウォーター・スチュワードシップ基準に確実に準拠することができる
- 科学的根拠に基づいた目標設定:2023年から2024年にかけて、科学的根拠に基づく目標ネットワーク(SBTN)により、淡水の科学的根拠に基づく目標設定に関する新しいガイダンスが発表される予定である。企業は、このような進歩を常に把握し、それに応じて水目標を評価することが重要である。これらの新基準の実施にはさらなる時間が必要かもしれないが、達成可能な目標を設定するためには、科学に基づいたデータの活用が不可欠である
- 水効率と廃水管理のベストプラクティスの実施:効率的な廃水管理は、水の回復力の礎である。企業は、水効率のベストプラクティスを遵守し、事業運営を最適化して水の消費量を減らすべきである。廃水管理も同様に重要であり、企業は廃水が安全かつ持続可能な形で処理・処理されるようにすべきである
- 水の再利用、リサイクル、循環のための実証済みの技術を導入:企業は、水の再利用、リサイクル、循環型のための実証済みの新技術を採用することで、イノベーションの推進において極めて重要な役割を果たすことができる。これらのアプローチは、生態系や経済への負担を軽減すると同時に、不必要な事業支出を防ぐことができる
- 安全で強靭な水、衛生設備、保健衛生(WASH)へのアクセスを確保:企業は、従業員やサプライチェーン全体に対して、安全で弾力性のあるWASHへのアクセスを提供すべきである。そうすることで、企業は健康で生産的な労働力を支援し、清潔で衛生的な水へのアクセスをすべての人に提供するという、より広範なグローバル・ゴールに貢献できる
【参照ページ】
(原文)Five fundamental business actions to improve Water Resilience
(日本語参考訳)国連グローバル・コンパクト、水レジリエンス向上で5つの企業向けアクションガイド