欧州委員会、EU100都市の2030年までの気候ニュートラル実現にコミット

EUの100都市、2030年までに気候ニュートラルに到達することを約束

2022年4月、欧州委員会は2030年までに気候変動に左右されないスマートシティを100都市実現する「Cities Mission 」プログラムに参加する100都市を選定したと発表した。これらの都市は、クリーンモビリティ、エネルギー効率、グリーン都市計画などの分野における研究および技術革新を推進するため、今後2年間で3億6,000万ユーロ(約492億円)の資金を受け取ることになる。

本イニシアティブは、気候変動への対応、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の達成、EUの競争力と成長の向上を目的とした、EUの研究とイノベーションのための950億ユーロ(約12兆円)の資金提供プログラムである「ホライゾンヨーロッパ」のEUミッションの1つである。2030年までに100の気候ニュートラル都市を実現することに加え、これらの都市が実験・イノベーションのハブとして機能し、2050年までに欧州のすべての都市がそれに追随できるようにすることが、Cities Missionの目的である。

都市が気候に与える影響に対処することは、2050年までに気候ニュートラルなEUを実現するという欧州グリーン・ディール目標の達成に向けた大きな一歩となる。EUの国土面積の4%しかないにもかかわらず、都市にはEU市民の75%が居住している。世界の都市は、世界のエネルギーの65%以上を消費し、世界のCO2排出量の70%以上を占めている。

2030年までに気候ニュートラルでスマートな100都市を目指すミッションは昨年9月に発足し、11月に参加都市を募集している。欧州委員会によると、377都市が都市ミッションに参加することを申請した。

選ばれた100都市は、EU加盟全27カ国からなり、中小都市から大都市まで幅広く、気候変動への備えのレベルもさまざまである。また、英国、トルコ、イスラエル、ノルウェーなど、関連国の12都市も含まれている。

各都市は、エネルギー、建物、廃棄物管理、交通などの分野を網羅した気候変動対策計画や投資戦略など、気候ニュートラルプランを定めた「気候都市契約」を作成する。また、各都市は、個別のアドバイス、追加資金や融資の機会、大規模なイノベーションアクション、パイロットプロジェクトや実証実験、その他のネットワーク構築の機会も得ることができる。

欧州委員会は、他の都市からもミッションへの参加に強い関心が寄せられていることから、ミッション・プラットフォームやその他の資金調達の機会を通じた支援など、落選した都市への支援も準備していると述べた。

【参照ページ】EU MISSIONS

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