4月18日、IBM Institute for Business Value(IBV)は新しい調査結果を発表した。本調査によると、サプライチェーンのトップは、過去2年間の大きな混乱を克服するために企業のサプライチェーンを見直し、回復力を向上させることに取り組む一方で、サステナビリティをビジネスの優先事項とみなし、サステナブルなビジネス手法を取り入れるための取り組みを計画していることが明らかになった。
本サーベイは、IBMがテクノロジー企業のセロニス、世界的な予測・定量分析・ソートリーダーシップのオックスフォード・エコノミクスと共同で、売上高が5億ドル(約649億円)から5,000億ドル(約64兆円)に及ぶ企業の、幅広い業種の最高サプライチェーン責任者(CSCO)500人を対象に調査を実施した。
また本サーベイでは、CSCOの3分の2がサステナビリティを事業価値の中核的要素であると認識していることが判明した。また、回答者の60〜70%が取締役会、顧客、投資家、規制当局と、さまざまなステークホルダーからサステナビリティの推進を求めるプレッシャーにさらされていると報告している。こうした圧力に対応するため、IBMは最近の別の調査で、CSCOの78%が環境的にサステナブルなビジネス手法を需要およびサプライチェーン計画の機能活動に取り入れており、72%がサステナビリティの取り組みを調達およびソーシングの機能活動に取り入れていると指摘している。
本調査によると、調査対象となったCSCOの半数以上が、持続可能な成果を上げるためなら利益を犠牲にしても構わないと考えている。またサステナビリティの取り組みによって期待する効果を尋ねたところ、環境規制の遵守、風評リスクの低減、新しいイノベーションの推進が上位3位を占め、次いで、製品ライフサイクルの廃棄物の削減、戦略的なブランドの差別化、サステナビリティに対する評価による人材の確保などが挙げている。
CSCOは、エネルギー効率の改善(50%)、循環型設計の導入、リサイクル可能な素材の使用など、サステナビリティ向上のために行っている一連の具体的なアクションを紹介した。今後3年間に計画している具体的な循環型経済への取り組みとしては、材料の再利用を拡大し廃棄物を削減するために材料や製品のフルライフサイクルデザインを開始することや、製品やサービスのエネルギー効率を向上することなどを挙げている。
また、回答者の35%が再生可能エネルギーに基づく新しい製品やサービスを開発する予定であると回答し、30%が廃棄物ゼロの製品やサービスを開発する予定であると回答した。
ESGデータと情報開示能力への投資もCSCOの優先リストの上位に挙げられており、55%が今後3年間に環境と社会のサステナビリティに関するリアルタイムのモニタリングと報告を取り入れる予定であると報告している。
【参照ページ】
(原文)The resilient digital supply chain
(日本語訳)IBM、サプライチェーン責任者500人を対象にした調査の結果を発表