7月5日、欧州委員会は、繊維廃棄物の持続可能な管理を支援し、繊維製品の全ライフサイクルに対する責任を生産者の手に委ねることを目的とした新たな規則案を発表した。
EU委員会によると、繊維製品の消費は、気候変動や環境に与える影響が、食料、住宅、移動に次いで4番目に大きく、水や土地の利用、温室効果ガスの排出に影響を与える要因の上位に挙げられている。
EUでは年間1,260万トンの繊維廃棄物が排出されており、そのうち衣類と履物は520万トンである。
EU委員会の新たな提案には、包装、バッテリー、電気・電子機器からの廃棄物管理に用いられてきたものと同様の、強制的な拡大生産者責任(EPR)制度の導入が含まれている。EPR制度の下では、生産者は繊維製品の廃棄物管理にかかる費用を負担することが求められ、その額は繊維製品の環境性能に応じて調整される。
欧州委員会は、本制度が廃棄物削減と繊維製品の循環性向上の動機付けとなり、生産者が最初からより良い製品を設計するようになることを期待している。
欧州委員会は、この提案に基づく生産者への支払いは、分別収集、分別、再利用、リサイクル設備への投資資金に充てられるとし、さらに、本提案は、繊維から繊維へのリサイクルなど、繊維分野の循環型技術の研究開発も促進すると付け加えた。
新規則は、EU委員会が2022年3月に発表した「持続可能で循環可能な繊維製品のためのEU戦略」に続くもの。同戦略には、繊維製品のライフサイクルに対処することを目的とし、繊維製品の生産・消費方法を変更する提案も含まれている。EU戦略の目標には、EU市場に投入されるすべての繊維製品を耐久性があり、修理が可能で、リサイクル可能なものにすること、そして「ファストファッションを流行から脱却させる」ことが含まれている。
本提案には、繊維廃棄物の他国への違法輸出に対処することを目的とした規則も含まれており、廃棄物が環境的に健全な方法で管理されることが保証された場合にのみ、輸出が行われるようになっている。
【参照ページ】
(原文)Circular economy for textiles: taking responsibility to reduce, reuse and recycle textile waste and boosting markets for used textiles
(日本語参考訳)EU、 繊維廃棄物の処理費用を生産者に負担させる新規則を発表