ECB、気候・環境リスク管理の期限を銀行に提示

ECB、気候・環境リスク管理のための期限を銀行に提示

11月2日、欧州中央銀行(ECB)は、銀行が気候変動リスクおよび環境リスクに対処するための一連の期限を発表した。

新たな期限は、銀行の戦略、ガバナンスおよびリスク管理の枠組みに関するECBのテーマ別レビューの結果発表とともに発表された。本レビューは銀行が気候リスクおよび生物多様性の損失などの環境リスクを適切に特定・管理しているかどうかを検証したもので、ECBの直接監督下にある「重要な銀行」と各国当局の監督下にある「重要度の低い銀行」を含む186の銀行を対象としている。

本レビューでは、多くの銀行が基本的な手法を導入している一方で、85%が気候・環境リスクに関する高度な手法と詳細な情報を有していないこと、また、銀行はこれらのリスクの幅と大きさを大幅に過小評価しており、96%がリスクの特定に「盲点」があることが明らかになった。

この結果を受け、ECBは、2020年の 「気候関連および環境リスクに関するガイド」で示した監督上の期待に銀行が完全に対応するために、機関別の期限を設定した。ECBはまた、2023年3月までに気候・環境リスクが事業活動に与える影響について包括的な重要性評価を実施すること、2023年末までに気候・環境リスクをガバナンス、戦略、リスク管理に組み込むこと、2024年末までに気候・環境リスクをストレステストの枠組みに組み込むことなど、すべての銀行が到達すべき最低限のマイルストーンを提示した。

ECBは、期限を注意深く監視するとし、必要であれば強制措置を取ると警告している。

【参照ページ】
(原文)ECB sets deadlines for banks to deal with climate risks (europa.eu)
(日本語訳)ECB、銀行が気候リスクに対処する期限を設定

関連記事

おすすめ記事

  1. 【最新】TISFDとは?概要・指標から国内外基準との関連まで徹底解説

    2025-9-11

    【最新】TISFDとは?概要・指標から国内外基準との関連まで徹底解説

    気候変動や自然資本など、環境領域に関する開示が進みつつある中、次なるテーマは「社会」の領域。TIS…
  2. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(前編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  3. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(後編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…

ピックアップ記事

  1. 2025-11-6

    CDPとTNFD、2025年質問票の対応マッピングを公開

    10月22日、CDPとTNFDは、CDP 2025年版企業質問票とTNFD開示推奨項目・指標との対…
  2. 2025-11-6

    ISSB、国際的なサステナビリティ開示の「グローバル・パスポート」構想を発表

    10月30日、ISSB(国際サステナビリティ基準審議会)は、ロンドンで開催された「IFRSサステナ…
  3. TNFD・自然移行計画の5つの構成要素と先行事例/実践例の紹介

    2025-11-5

    TNFD・自然移行計画の5つの構成要素と先行事例/実践例の紹介

    ※2025年11月4日公開済みの記事にTNFDが発行した「Nature in transition…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る