11月1日、アクセンチュアが発表した新しいレポートによると、ネット・ゼロ・エミッションの目標を設定する企業は世界的に増えているが、目標達成に向けて順調に進んでいる企業は10社に1社未満であることが明らかになった。
アクセンチュアは、新しいレポート「Accelerating Global Companies towards Net Zero by 2050」において、世界の大手公共・民間企業2000社(G2000)の排出量削減への取り組みとデータを分析した。
本調査では、過去1年間のマクロ経済の混乱やエネルギー価格の変動にもかかわらず、主要企業によるネット・ゼロの目標設定のペースは依然として堅調であることが示された。G2000企業の34%がネット・ゼロのコミットメントを行い、2021年末から7ポイント増加した。目標設定の勢いは特に欧州で強く、同地域のG2000企業の半数以上(51%)がネットゼロ目標をカバーしており、北米の28%(5pp増)、その他の地域の28%(4pp増)に対し、昨年より14ポイント上昇した。
しかし、G2000企業のうち、スコープ1および2の排出量について自社のネット・ゼロ目標を達成できる可能性がある企業はわずか7%にとどまっている。アクセンチュアによると、残りの93%の企業が目標を達成するためには、2030年までに排出量削減のペースを少なくとも2倍にし、その後も大幅に排出量を削減して2050年までにネット・ゼロを達成する必要がある。
ほとんどの企業が気候変動目標を達成するには至っていない一方で、企業が投資を増やし、より包括的な排出削減策を講じるなど、サステナビリティ目標の達成に向けた勢いがこの1年で強まっていることも報告されています。84%の企業が、今年度はサステナビリティの取り組みへの投資を増やす予定であると回答し、前年の80%から増加した。
目標設定もより洗練され、2022年にはScience Based Targets initiative(SBTi)により検証された企業目標の数が過去最高となった。また、中間目標の設定も増えている。ネット・ゼロ目標を掲げる企業のうち83%が中間目標も提示しており、一昨年の66%から増加傾向にある。透明性も向上しており、ネット・ゼロ目標を掲げる企業の81%が、Taskforce on Climate Related Financial Disclosures (TCFD) フレームワークの勧告に照らした報告を行っている。
報告書では、これらの行動の重要性が強調され、ネット・ゼロ・ターゲットを掲げる企業が、排出量削減において著しく優れた成果を上げていることが明らかになった。例えば、2011年から2020年の間に、ネット・ゼロ・ターゲットを完全に達成している企業のスコープ1および2の排出量の相対的変化は18%であるのに対し、目標を達成していない企業の排出量の増加は20%に上った。
また、ネット・ゼロ・ターゲット達成に向けて順調に進んでいる企業を調査した結果、科学的根拠に基づく目標の確保、エネルギー使用量と排出量の削減方法の構築、社内カーボンプライシングなどのより複雑なメカニズムの導入、優れたESGフレームワークに基づく報告などがより頻繁に行われていることが判明した。
【参照ページ】
(原文)Nearly All Companies Will Miss Net Zero Goals Without At Least Doubling Rate of Carbon Emissions Reductions by 2030, Accenture Report Finds | Accenture
(日本語訳)アクセンチュア:気候変動目標に向けて前進している企業は10社に1社未満