英国健康安全保障局、気候変動適応策として「悪天候と健康計画」を発表

4月27日、英国健康安全保障局(UKHSA)は、気候変動に関する国家適応計画(NAP)の下で、天候と健康に関する既存のガイダンスをまとめ、改善することを約束する一環として、新たに「悪天候と健康計画(AWHP)」を発表した。

AWHPは、悪天候による健康への影響から人々を守り、コミュニティの回復力を高めるために、UKHSA、政府、政府機関、NHSイングランド、地方公共団体がとってきた既存の対策を基にしたものである。

今回の「悪天候と健康計画(AWHP)」は、イングランドの熱波計画(Heatwave Plan for England)とイングランドの寒冷地計画(Cold Weather Plan for England)を統合したもの。UKHSAが新設した気候・環境セキュリティセンターの科学者や公衆衛生専門家によって開発された。暑さや寒さなどの厳しい天候の中で安全に過ごすためのガイダンスやサポート資料も提供している。

UKHSAは、気象庁と協力して、2023年6月までに猛暑健康警報制制度、11月までに極寒健康警報制度を開始し、専用プラットフォームを作成する予定。警報には、今後数日間に予想される気象条件、予想される影響の概要、地域的な影響評価の概要に関する情報が含まれる。

英国の気候変動リスクアセスメント3(CCRA3)の一環として気候変動委員会が作成した報告書によると、この10年間にイングランドで気候変動による熱関連死亡の経済コスト総額の予測は、年間約64億ポンド(約1兆円)に達する。

さらに、同報告書では、より高い費用対効果をもたらす早期適応投資をいくつか挙げている。CCRA3におけるリスクと機会の貨幣的評価によると、熱波計画や気象・気候サービスに1ポンド投資するごとに、10ポンドの経済的利益をもたらす可能性がある。

これらの利益の中には、熱波計画、早期警報システム、能力開発など、計画に詳述されている適応策を具体的に指すものもある。

【参照ページ】
(原文)UKHSA launches new Adverse Weather and Health Plan
(日本語参考訳)英国健康安全保障局、気候変動対策として「悪天候と健康計画」を発表

関連記事

“ホワイトペーパーへのリンク"

おすすめ記事

  1. ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    2024-5-15

    ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    上場企業であれば気候変動の情報開示が当たり前になってきたのと同じく、人材のウェルビーイングの実現に…
  2. CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    2024-5-7

    CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive…
  3. ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    2024-4-30

    ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    ESG投資の流れは国内外において拡大を続けている分野であり、注目を集めている。投資家のニーズに応え…

ピックアップ記事

  1. 2024-7-23

    シェルパ、東洋経済新報社とシステム連携契約を締結

    7月23日、シェルパ・アンド・カンパニー株式会社が開発・提供する企業向けESG情報開示支援クラウド…
  2. 2024-7-17

    GRI、新たにCSRD/ESRS開示のためのサポートサービスをリリース

    7月10日、GRI(Global Reporting Initiative)は、新しいGRI-ES…
  3. 2024-7-17

    JCI、1.5℃目標に整合する2035年目標を政府に求める。216団体が賛同

    7月8日、気候変動イニシアティブ(JCI)は、「1.5度目標と整合する野心的な2035年目標を日本…
ページ上部へ戻る