共和党検事団、資産運用会社に対し、ESG投資は受託者および反トラスト法違反のリスクがあると警告

共和党の司法長官が資産運用会社に対し、ESG投資は受託者および反トラスト法違反のリスクがあると警告

4月1日、共和党の21州検事団は、米国の大手資産運用会社50社以上に対し、ESG投資活動や気候変動に焦点を当てた提携への参加に起因する違反の可能性を警告する公開書簡を発表した。

モンタナ州、ルイジアナ州、ユタ州の司法長官が主導するこの書簡は、米国の共和党政治家による一連の反ESGイニシアティブの最新版となる。 また、先月には、フロリダ州知事のロン・デサンティス氏が率いる州知事連合が結成され、州や地域の年金基金におけるESGの考慮の禁止を含む「ESG運動から個人を守る」ための行動を調整することを目的としている。

こうした取り組みの多くは、ERISAや州年金基金の運用におけるESG要素の利用を対象としているが、今回の書簡は、ESG投資全般に対するより広い警告である。資産運用会社のESGへの取り組み、特にNet Zero Asset Managers initiative(NZAM)やClimate Action 100+などのアライアンスへの参加について、「受託者の要件、消費者に対するサービスの表明、独占禁止法への準拠に疑問を投げ掛ける」と警告している。

21ページの書簡では、資産運用会社が気候に焦点を当てた提携にコミットすることと顧客に対する受託者義務の整合性や、「Climate Action 100+やNZAMなどの組織を通じた投票や関与に関する水平協定 」による競争への悪影響など、検事総長の幅広い懸念事項が取り上げられている。

こうした懸念の中には、最近、気候変動に焦点を当てたアライアンスからの撤退が注目されているものもある。12月、VanguardはNZAMからの脱退を発表し、その理由を「インデックスファンドの役割と、気候関連リスクを含む重要リスクに対する当社の考え方を明確にし、投資家にとって重要な事項についてVanguardが独立して発言していることを明確にするため」と説明した。先週、保険会社のミュンヘン再保険は、反トラスト法上のリスクを理由に、関連する連合体であるネット・ゼロ保険同盟(NZIA)からの脱退を発表した。

【関連記事】Vanguard、NZAM構想から脱退

本書簡の最後では、検事総長が資産運用会社に対して、「あなたたちや他の人々が気候行動100+やネット・ゼロ資産運用会社イニシアティブなどの一部として行った約束に起因する可能性のある違法な協調やその他の違反行為に関する我々の進行中の調査に沿って、この分野における活動を引き続き評価する」と警告している。

【参照ページ】
(原文)GOP attorneys general threaten legal action to companies who prioritize ESG invesments
(日本語訳)米共和党の検事総長が、ESG投資を優先する企業に対して法的措置を講じると脅す

関連記事

おすすめ記事

  1. 2025-7-2

    シェルパ、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)理事・小森氏をゲストにウェビナー「ISSBが示すサステナビリティ情報開示の考え方」を実施

    - ISSB基準に関する最新動向から企業価値向上に向けた戦略的情報開示についてまで、講演と対談を通…
  2. ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    2024-5-15

    ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    上場企業であれば気候変動の情報開示が当たり前になってきたのと同じく、人材のウェルビーイングの実現に…
  3. CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    2024-5-7

    CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive…

ピックアップ記事

  1. 2025-7-18

    EC、サステナビリティ報告に「緊急修正措置」 先行企業の負担を軽減

    7月11日、欧州委員会は欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)に対する的を絞った「緊急修正措置」…
  2. 複雑化する制度を整理:課題別サステナビリティ情報開示の進め方

    2025-7-17

    複雑化する制度を整理:課題別サステナビリティ情報開示の進め方

    サステナビリティ情報開示の実務の“今”に応じたオリジナル解説記事のご案内 サステナビリティ情…
  3. 2025-7-17

    カリフォルニア州、企業の気候情報開示でFAQを発表 – 報告義務の具体策示す

    7月9日、カリフォルニア州大気資源局(CARB)は、州内で事業を行う大企業に温室効果ガス(GHG)…

““登録03へのリンク"

ページ上部へ戻る