FCA、ESGベンチマークの「広範な欠陥」に警告

FCA、ESGベンチマークの「広範な欠陥」に警告を発する

3月20日、金融サービス企業および金融市場の行為規制機関である金融行動監視機構(FCA)は、ESGベンチマークの管理者が、ESG関連の情報開示の質の低さ、古いデータや格付けの使用など、「広範囲に及ぶ失敗の可能性」を発見したと発表した。

規制当局は、ベンチマーク管理者のCEOに送った書簡の中で、問題が解決されない場合、強制措置の可能性があると警告している。

FCAによる警告は、ESGベンチマークに関する予備的なレビューに続くもので、9月に開示が不十分であるリスクを強調する書簡を管理者に送付した後、開始された。FCAによると、レビューでは「ベンチマーク管理者によるESG関連開示の全体的な質が低いことが判明した」という。

レビューで確認された問題の中には、管理者がベンチマーク手法で考慮されるESG要因について十分な詳細を提供していないこと、古いデータや格付けを使用したりESG除外を適用しなかったりするなど、手法を正しく実装できていないこと、ESG開示要件を完全に実装できていないことが含まれている。

2021年、FCAはESG戦略を立ち上げた。本戦略には、グリーン・その他のESGラベル付き金融商品・製品の信頼性を高めることを目的とした取り組みや、ESGデータ、格付け、保証、検証のプロバイダーのサービスも盛り込んでいる。本戦略の一環として、2022年10月、規制当局は投資商品のサステナビリティラベルや開示要件の導入を含む一連のグリーンウォッシング防止規則を提案した。

FCAのインフラ・取引所担当ディレクターであるJon Relleen氏の署名が入った今回の書簡で、規制当局は、今回の規則は主に投資商品に焦点を当てているが、ベンチマーク管理者にも適用されると指摘し、サステナビリティ関連の主張が明確で誤解を招かないようにするための要件は、管理者が「ベンチマークネーミング、開示、マーケティング資料を含むその他のサポート文書において考慮すべき」とした。

同書簡は、FCAが指摘した問題へ確実に対処するよう管理者に指示し、管理者が「我々のフィードバックを考慮しない」場合は、「我々の正式な監督手段を展開し、適切な場合には強制措置を検討する」と警告している。

【参照ページ】
(原文)FCA outlines where improvements are needed in ESG benchmarks
(日本語参考訳)FCA、ESGベンチマークの「広範な欠陥」に警告

関連記事

“ホワイトペーパーへのリンク"

おすすめ記事

  1. ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    2024-5-15

    ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    上場企業であれば気候変動の情報開示が当たり前になってきたのと同じく、人材のウェルビーイングの実現に…
  2. CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    2024-5-7

    CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive…
  3. ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    2024-4-30

    ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    ESG投資の流れは国内外において拡大を続けている分野であり、注目を集めている。投資家のニーズに応え…

ピックアップ記事

  1. 2024-7-23

    シェルパ、東洋経済新報社とシステム連携契約を締結

    7月23日、シェルパ・アンド・カンパニー株式会社が開発・提供する企業向けESG情報開示支援クラウド…
  2. 2024-7-17

    GRI、新たにCSRD/ESRS開示のためのサポートサービスをリリース

    7月10日、GRI(Global Reporting Initiative)は、新しいGRI-ES…
  3. 2024-7-17

    JCI、1.5℃目標に整合する2035年目標を政府に求める。216団体が賛同

    7月8日、気候変動イニシアティブ(JCI)は、「1.5度目標と整合する野心的な2035年目標を日本…
ページ上部へ戻る