多数の欧米企業、ロシア事業の撤退を発表

ロシアから事業撤退する企業が相次いでいる。撤退背景には、ロシアのウクライナ侵攻に伴う、米欧日のロシアへの経済制裁の長期化によって、事業運営が困難になったことがあげられる。多くの事業が一時停止を発表していたが、今回無期限撤退の発表が相次いだ。

7月3日には、Schneider Electricがロシアの現地首脳陣への売却に関する拘束力のある契約に調印した。本取引の完了は、規制当局の承認とその他の完了条件の充足が条件となった。ロシア事業所は同グループの売り上げの3%を占めていた。

7月5日、Yum! Brands は、世界中に53,000以上のレストランを持ち、その98%はフランチャイズ契約によって所有および運営されていると公表したうえで、 ロシアにおける新たな店舗開発と投資を中止すると発表。ロシア市場からの撤退計画の一環として、同国におけるKFC事業を売却するという。同社は、ロシアにケンタッキーフライドチキン(KFC)が約1,000店舗、ピザハットが約50店舗所有してる。

一方で、 7月1日にロシア最大の証券取引所モスクワ取引所は、国家和解預託所(NSD)に対する欧州連合の制裁に対する法的異議申し立てを計画しており、ロシアの投資家の利益を保護するよう努めると述べた。また、ロシアの大手銀行、証券会社、資産運用会社などの金融市場関係者は、モスクワ取引所とNSDと共同で、投資家の権利、特に無資格の市場参加者を保護するためのクラブを設立することに合意した。

ロシアの下院は、ロシアの投資家が海外で発行した外国証券を、ロシアの株式やユーロ債に強制的に転換する手続きを導入する法案を承認した。同法律は、まだプーチン大統領の署名がされていないが、投資家が要求した場合には、外国の組織からロシアの組織へ会計上の権利を強制的に移すことを求めている。

【参照ページ】
(原文)
Schneider Electric signs binding agreement for the divestment of Schneider Electric Russia to local management
Yum! Brands Pausing Investment and Development in Russia; Redirecting Profit to Humanitarian Efforts

(日本語訳)
シュナイダーエレクトリック、シュナイダーエレクトリック・ロシアを現地経営者に売却する拘束力のある契約を締結
Yum! ロシアへの投資と開発を中断し、利益を人道支援に振り向ける。

関連記事

おすすめ記事

  1. ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    2024-5-15

    ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    上場企業であれば気候変動の情報開示が当たり前になってきたのと同じく、人材のウェルビーイングの実現に…
  2. CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    2024-5-7

    CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive…
  3. ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    2024-4-30

    ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    ESG投資の流れは国内外において拡大を続けている分野であり、注目を集めている。投資家のニーズに応え…

ピックアップ記事

  1. 2025-7-1

    カナダ年金基金、2030年までに4,000億ドルの気候投資

    6月19日、カナダの大手機関投資家であるケベック州貯蓄投資公庫(CDPQ)は、2050年ネットゼロ…
  2. 2025-7-1

    GRI、サステナビリティ報告のデジタル化を促進する新「サステナビリティ・タクソノミー」を発表

    6月19日、GRI(Global Reporting Initiative)は、新たに「GRI S…
  3. GRI 102/103 新基準の実務チェックポイント:IFRS/ISSB基準と一部整合へ

    2025-6-30

    GRI 102/103 新基準の実務チェックポイント:IFRS/ISSB基準と一部整合へ

    サステナビリティ情報開示における基準間の整合性の確保は、ますます重要な課題となっている。CSRD(…

““登録02へのリンク"

ページ上部へ戻る