EU、非欧州の大企業にサステナビリティ報告・開示の監査を義務化

6月22日、EU理事会と欧州議会は、企業サステナビリティ報告指令(CSRD)の規則について、企業は報告されたサステナビリティ情報を独立監査することが義務づけられ、一部の非EU大企業にも適用されると発表した。

CSRDは、現在のEUのサステナビリティ報告の枠組みである2014年の非財務報告指令(NFRD)の大幅な更新として目指されるものだ。新規則では、サステナビリティ開示が求められる企業数を現在の約12,000社から50,000社以上に大幅に拡大し、より詳細な報告要件を導入し、報告された情報の監査による保証を義務付ける。

本規則では、欧州財務報告諮問グループ(EFRAG)が現在策定中の欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)という共通の枠組みのもとでの開示が義務付けられる。新制度のもとでは、企業は環境や社会から人権やガバナンスの要素に至るまで、さまざまな問題について報告する必要がある。

新協定では、企業が提供する気候変動や人権への影響に関する情報については、独立した監査や認証を受けることが義務づけられる予定だ。また、本協定は、EU域内で1億5,000万ユーロ(約215億円)以上の売上を上げる非欧州企業にも報告義務を拡大する。

CSRDの規則は、すでにNFRDの対象となっている企業には2024年初めに、その他の大企業には翌年から適用する。また、中小企業は2026年からサステナビリティの情報開示が義務付けられるが、一部の中小企業は2028年までオプトアウトが可能である。

【参照ページ】
(原文)New social and environmental reporting rules for large companies
(日本語訳)EU、非欧州の大企業にサステナビリティ報告・開示の監査を義務化へ

関連記事

おすすめ記事

  1. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(前編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  2. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(後編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  3. 【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    2025-8-6

    【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    ※本記事は、2025年7月31日時点の情報を元に作成している。今後の動向により内容は随時更新される…

ピックアップ記事

  1. ESGフロントライン:米SEC委員長がサステナビリティ開示基準へ懸念を表明

    2025-9-15

    ESGフロントライン:米SEC委員長がサステナビリティ開示基準へ懸念を表明

    ※本記事は、ESG Journal編集部が注目のニュースを取り上げ、独自の視点で考察しています。 …
  2. 2025-9-12

    ISOとGHGプロトコル、温室効果ガス基準を統合へ 世界共通言語の構築目指す

    9月9日、ISO(国際標準化機構)とGHGプロトコルが、既存のGHG基準を統合し、新たな排出量算定…
  3. 2025-9-12

    カリフォルニア州、気候関連財務リスク報告の指針を公表

    9月2日、カリフォルニア大気資源局(CARB)は「気候関連財務リスク開示ドラフト・チェックリスト」…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る