3月21日、化学大手バイエルは、ニューヨークで開催される国連2023年水会議において、新たな水戦略を発表した。同社は、ビジネス上の意思決定、投資、サプライヤーの選定において、水を不可欠な要素にしている。
バイエルの水戦略は、健康と農業の分野における主要なプレーヤーとしての立場を反映し、自社のビジネスにとどまらない影響を与えることを目的としている。その活動は、バイエル自身の事業からバイエルがサービスを提供する農家まで、バリューチェーン全体を包含する。水戦略の主要な要素は以下の通り。
- レジリエントな農業:バイエルは、同社が事業を展開する関連地域の小規模農家の顧客の稲作システムを変革し、2030年までに作物1kgあたりの水使用量を25%改善することにコミットしている。さらに、2030年までに作物保護ポートフォリオの環境負荷を30%削減するという既存のコミットメントも、水質向上に寄与している。
- ビジネスと投資:バイエルは、水質と水量をビジネスの意思決定とプロセスに統合するコンセプトを開発しており、2024年以降に展開する予定。すでに2021年には、水と廃水に関する事項が、バイエルの総CapExプロジェクトの約10%を占めている。
- サプライヤーと生産者:バイエルは、水を含むサステナビリティリスク分類を用いて、すべての主要サプライヤーおよび選択したリスクの高いサプライヤーのパフォーマンスを評価する。重要な一歩として、バイエルは新しいサプライヤー行動規範を発表し、水と廃水に関する専用の項目を設けた。
- サイトと施設:バイエルは、事業所の全従業員に対して安全な飲料水、衛生設備、衛生(WASH)を提供することを約束した。同社は、すでにある水管理システムに基づいて、水不足地域の関連サイトにおける水の使用を最適化し、2030年までに水不足地域になると予測されるサイトにも拡大する予定だ。また、2025年までに自社の事業について、2030年までに達成すべき水に関する目標を設定する。
- アンバサダーとパートナーシップ:バイエルは、「水と気候のリーダー」のための世界気象機関への参加、「ウォーター・レジリエンス連合」への積極的な参加、活動家ミナ・グリとのパートナーシップ、そしてCOP27の国連CCD閣僚会議で発足した「国際干ばつ回復同盟(IDRA)」に参加している。同社は、こうした強力なパートナーシップを活用し、適切なリーダーを集め、今後の水に関する議論に民間セクターが適切に関与できるようにする。
【参照ページ】
(原文)Bayer pledges to help tackle global water crisis with new water strategy
(日本語参考訳)バイエル、新たな水戦略で世界の水危機への支援を約束