ESMA、持続可能な投資ファンドの監督に関するガイダンスを提示

5月31日、EUの市場規制機関である欧州証券市場庁(ESMA)は、サステナビリティを特徴とする投資ファンドの調整を目的とした新しい監督上のガイダンスを発表した。同報告書には、持続可能な投資ファンドのマーケティングと名称、およびファンドマネジャーによる持続可能性リスクのポートフォリオとリスク管理への統合に関して、各国所轄官庁(NCA)が実施すべき一連の要件案が含まれている。

EUの規制当局は、持続可能な成長のための資金調達に関するEU行動計画の主要な要素である「サステナブル・ファイナンス開示規則(SFDR)」とEUタクソノミに沿った規則の導入を進めており、本ガイダンスはその一環だ。

持続可能な投資商品のマーケティングに関する提案には、投資家に提供する情報が「正確、公正、明確、誤解を招かない、シンプルかつ簡潔」であること、資産の選定に使用する環境・社会基準に関しては、ファンドマネージャーを実際に拘束するものだけを開示することなどが含まれている。

本ガイダンスには、ファンド名の監督に関する提案が含まれている。ファンド名における「ESG」「グリーン」「サステナブル」「ソーシャル」「エシカル」「インパクト」などの用語の使用は、ファンドの目的や投資戦略における持続可能性の特徴を示す証拠によって裏付けられた場合にのみ使用できる。

8月から、EUのすべての公認ファンドマネージャーは、ポートフォリオとリスク管理プロセスにサステナビリティ・リスクを組み込む必要がある。ESMAによると、大規模なファンドマネージャーはポートフォリオのサステナビリティ・リスクを評価するツールを既に持っているのに対し、中小規模のマネージャーは新規則の遵守に苦労する可能性がある。規制当局への提案には、運用会社による内部方針の定期的な見直し、監督当局による方針と手続きの実施について「机上及び/又は現場でのレビュー」が含まれている。

【参照ページ】
(原文)Supervisory briefing

関連記事

おすすめ記事

  1. TCFD×TNFD統合開示ガイド:いま企業が備えるべき実務対応とは?

    2025-8-20

    TCFD×TNFD統合開示ガイド:いま企業が備えるべき実務対応とは?(再掲)

    ※2025年5月28日公開済みの記事を一部更新し再掲している。 企業のサステナビリティ関連の…
  2. 【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    2025-8-6

    【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    ※本記事は、2025年7月31日時点の情報を元に作成している。今後の動向により内容は随時更新される…
  3. TCFD・IFRS・CSRDの移行計画とは:業界別に考える開示ポイント

    2025-7-10

    TCFD・IFRS・CSRDの移行計画とは:業界別に考える開示ポイント

    ※本記事は2024年10月の内容にGX-ETSに関する内容を追記し再掲載している。(2025年7月…

ピックアップ記事

  1. サステナビリティ開示におけるタクソノミ導入と実務対応のポイント

    2025-8-22

    サステナビリティ開示におけるタクソノミ導入と実務対応のポイント

    2025年8月8日、金融庁は、「2027年版EDINETタクソノミの開発案」を公表した。これは、I…
  2. 2025-8-19

    PR【対談&ワークショップ】第一生命が語る「ESG開示」と「企業価値向上」

    毎回満員御礼でご好評をいただいているESG Journal 会員向けのESG Journal …
  3. 2025-8-18

    金融庁、EDINET新タクソノミ案公表 27年版ではサステナ情報開示も検討

    8月8日、金融庁は企業の有価証券報告書などで利用される電子開示システム「EDINET」の基盤となる…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る