
6月5日、米ハネウェル、英ジョンソン・マッセイ、蘭GIDARAエナジー、韓サムスンE&Aの4社はバイオマスや都市ごみから持続可能な航空燃料(SAF)を製造するための戦略的技術提携を結んだと発表した。各社の専門技術を結集し、原料調達から燃料製造までの全工程を包括的に担うことで、SAFの安定供給と普及を加速させる狙いだ。
航空業界の脱炭素化の切り札としてSAFの需要が世界的に高まる一方、従来の原料には限りがあるという課題があった。今回の提携は、廃棄物などを原料とするフィッシャー・トロプシュ(FT)法を活用した新たな製造プロセスを共同で提供するものである。これにより、世界中で豊富に入手可能な原料の選択肢を広げ、増大する需要に応えることを目指す。
4社はそれぞれの強みを生かし、一貫したソリューションを提供する。
- GIDARAエナジー:廃棄物のガス化技術
- ジョンソン・マッセイ:合成ガスを燃料に変える触媒技術
- ハネウェル:プロセス技術とデジタルオートメーション
- SAMSUNG E&A:プラントの設計・調達・建設(EPC)
この統合されたモジュール型ソリューションにより、従来の手法に比べ、事業化調査からプラント稼働までの期間を15%以上短縮し、設備投資も最大10%削減できるとしている。また顧客は窓口を一本化でき、プロジェクトを円滑に進められる利点もある。
ハネウェルのケン・ウェストCEOは「SAF需要が増加する中、原料の選択肢を広げる技術はますます重要になる。この包括的な提携は、事業者がビジョンを迅速に実行するための戦略的なアプローチを提供する」とコメントした。
国際エネルギー機関(IEA)は、2030年までにバイオ燃料需要の40%以上が廃棄物や非食用作物由来になると予測しており、今回の提携はこうした市場の潮流を捉えた動きとなる。4社は今後、エネルギー安全保障と持続可能な社会の実現に貢献していく方針だ。
(原文)Honeywell, Johnson Matthey, Gidara Energy And Samsung E&A Form SAF Technology Alliance