ドイツ銀行のDWS、グリーンウォッシングの疑いでオフィスを家宅捜索

6月1日、ドイツ当局は、ドイツ銀行とその投資部門であるDWSのフランクフルト事務所を家宅捜索し、過去数ヶ月間同社を取り巻くグリーンウォッシングの懸念をさらに深めた。

フランクフルト検察庁の発表によると、捜索のきっかけは、DWSが金融商品のグリーンまたはサステナビリティに関連する側面を誇張しているというメディアの報道で、「目論見書詐欺」の疑いにつながる証拠調べを行った結果、このようになったとのことだ。

今回の措置は、昨年、米国のSECとドイツの連邦金融監督機関BaFinが、1兆ドル(約130兆円)規模の資産運用会社が投資手法におけるESG配慮の使用とESG投資能力に関して投資家を欺いたと主張して調査したことを受けたものである。2021年8月、DWSの元サステナビリティ責任者デジリー・フィクスラーは、同社が投資プロセスにおいてESGインテグレーションを用いてどの程度資産を投資しているかについて、年次報告書に虚偽の記載をしていたと主張した。

【関連記事】ドイチェ・アセット・マネジメント、ESG投資の主張に対する規制当局の調査報告を受けて株価が低迷

ESG投資への投資家の関心が高まり、投資会社やアドバイザーがグリーン投資分野への投資資金の流れに対応しようと躍起になっていることもあり、規制当局はグリーンウォッシングの懸念に目を光らせている。先週、米国証券取引委員会(SEC)は、投資家に明確で一貫した情報を提供し、グリーンウォッシュのリスクに対処することを目的として、ESG要素を投資商品に統合すると主張するファンドやアドバイザーに対する新しい開示規則案を発表した。EUの市場規制機関である欧州証券市場庁(ESMA)も、最近発表した「サステナブル・ファイナンス・ロードマップ」の中で、グリーンウォッシングを優先分野と位置づけている。

【関連記事】SEC、グリーンウォッシュをターゲットに、ESGファンドの新しい開示規則を公表
欧州証券市場庁、新たなサステナブル・ファイナンス・ロードマップを公表。グリーンウォッシングへ対応

【参照ページ】
(原文)CEO of Deutsche Bank’s asset manager steps down after ‘greenwashing’ raid
(日本語訳)ドイツ銀行のDWS、グリーンウォッシングの主張で当局にオフィスを捜索される

関連記事

“ホワイトペーパーへのリンク"

おすすめ記事

  1. ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    2024-5-15

    ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    上場企業であれば気候変動の情報開示が当たり前になってきたのと同じく、人材のウェルビーイングの実現に…
  2. CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    2024-5-7

    CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive…
  3. ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    2024-4-30

    ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    ESG投資の流れは国内外において拡大を続けている分野であり、注目を集めている。投資家のニーズに応え…

ピックアップ記事

  1. 2024-7-23

    シェルパ、東洋経済新報社とシステム連携契約を締結

    7月23日、シェルパ・アンド・カンパニー株式会社が開発・提供する企業向けESG情報開示支援クラウド…
  2. 2024-7-17

    GRI、新たにCSRD/ESRS開示のためのサポートサービスをリリース

    7月10日、GRI(Global Reporting Initiative)は、新しいGRI-ES…
  3. 2024-7-17

    JCI、1.5℃目標に整合する2035年目標を政府に求める。216団体が賛同

    7月8日、気候変動イニシアティブ(JCI)は、「1.5度目標と整合する野心的な2035年目標を日本…
ページ上部へ戻る