GPIF、第8回 機関投資家のスチュワードシップ活動に関する上場企業向けアンケート集計結果を公表
5月17日、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、運用受託機関のスチュワードシップ活動に関する評価と、「目的を持った建設的な対話」(エンゲージメント)の実態および変化の把握を目的とした、上場企業向けアンケートの結果を公表した。
対象:TOPIX構成企業2,162社(2022年12月23日時点)
回答社数:735社(前回709社)
回 答 率 :34.0%(前回32.5%)
回答期間:2023年1月24日~3月24日
本アンケートのトピックスは「エンゲージメントの拡大」であった。
1.エンゲージメント対応者の拡大:社外役員(社外取締役・社外監査役)
運用受託機関による社外取締役との対話件数は増加しており、アンケート結果においても社外役員との対話要請を受けた企業の多くが実際に対話している。また、社外役員による対話の方針や対応を検討中の企業が多く、今後、企業側の準備が整っていくにつれて、社外役員との対話がさらに増加していく可能性がある。
2.エンゲージメント手法の拡大:協働エンゲージメント
協働エンゲージメントの要請があった場合、対話を謝絶したという事例は極めて少数であった。協働エンゲージメントの枠組みは人権や生物多様性にも拡大しているほか、企業と投資家による建設的な対話の重要性の高まりを受けて、大量保有報告制度における「共同保有者」等の範囲の明確化が検討される点も注目されている。
3.エンゲージメントテーマの拡大:TCFD開示
コーポレートガバナンス・コードにおいて、プライム企業にTCFDに沿った情報開示が求められたことでTCFD開示企業数が拡大し、開示内容に関する機関投資家との対話も進展している。なおGPIFでは、企業と投資家の建設的な対話を進める取組の一環として、株式運用受託機関が選ぶ「優れたTCFD開示」を公表している。