5月16日、欧州理事会は、EU市場に投入または輸出される製品に関連する森林減少および森林劣化のリスクを最小化することを目的とした規制案を採択した。
EUは、森林破壊に大きな役割を果たす商品・製品の大規模な消費地および貿易地である。新しい規則は、EUによるこれらの商品や製品の消費と取引が、森林破壊や森林生態系のさらなる劣化に寄与しないよう保証することを目的としている。
本規則は、パーム油、牛、木材、コーヒー、ココア、ゴム、大豆をEU市場に流通、提供、輸出するすべての事業者、貿易業者に対して、デューデリジェンスの必須ルールを定めている。また、チョコレート、家具、印刷紙、パーム油ベースの派生製品(パーソナルケア製品の成分として使用)など、多くの派生製品にもこのルールが適用される。
事業者は、販売する商品を生産された土地までさかのぼって追跡することが求められる。同時に、新規則は義務の重複を避け、事業者と当局の事務負担を軽減することを目的としている。また、小規模な事業者が大規模な事業者にデューデリジェンス宣言書の作成を依頼する可能性もある。
したがって、2020年12月31日以降に森林伐採や森林劣化が行われていない土地で生産された製品のみが、EU市場での販売やEUからの輸出を許可されることになる。
本規則では、森林減少や森林劣化に関連するリスクのレベル(低、標準、高)をEU内外の国に割り当てるベンチマークシステムを構築している。
リスク区分によって、事業者や加盟国当局が検査や管理を実施する具体的な義務のレベルが決定される。これにより、高リスク国に対しては監視を強化し、低リスク国に対してはデューデリジェンスを簡略化することができる。
所轄官庁は、高リスク国の製品を取引する事業者およびトレーダーの9%、標準リスク国の3%、低リスク国の1%に対して検査を実施し、規制で定められた義務を効果的に果たしていることを確認する必要がある。さらに、所轄官庁は、高リスク国が自国の市場に投入、提供、輸出する関連商品および製品の9%についてチェックを実施する予定である。
新規則は、森林破壊に関連する人権の保護にも配慮しており、先住民の自由意思に基づく事前・事後の同意の原則への言及が追加された。
規則には罰則に関する規定があり、加盟国は効果的、比例的かつ説得力のある罰則を確保する必要がある。
【参照ページ】
Council adopts new rules to cut deforestation worldwide