5月8日、環境省は企業向けに「バリューチェーンにおける環境デュー・ディリジェンス入門」を発行した。
経済開発協力機構(OECD)の「OECD多国籍企業行動指針」や国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」では、企業行動による悪影響を特定・防止・軽減する手段としてデュー・ディリジェンス(DD)プロセスの実施を求めている。そして、欧州を中心にDDプロセスの情報開示や実施を法規制化する動きが進んでおり、その対象は、人権にとどまらず環境課題にも広がっている。
環境省では、「責任ある企業行動のためのOECDデュー・ディリジェンス・ガイダンス」(OECDガイダンス)で説明されているプロセスを紹介し、国内の事業者による環境DDの取組促進をはかってきた。令和2年度には「バリューチェーンにおける環境デュー・ディリジェンス入門~OECDガイダンスを参考に~」を公表し、以降、ヒアリング等を通じて企業の取組の進捗を継続的に把握してきた。
ヒアリングでは、環境マネジメントシステム(EMS)を発展させ、OECDガイダンスの求めるDDプロセスを実施している企業も見られた。
世界的に見てもEMSの導入が多い日本企業において、EMSを発展させてOECDガイダンスが求めるDDプロセスを実施するための情報を整理することは有用と考え、OECDガイダンスが求めるDDのプロセスについて、EMS等の既存の企業のリスクマネジメントとの関係を整理した「バリューチェーンにおける環境デュー・ディリジェンス入門 ~環境マネジメントシステム(EMS)を活用した環境デュー・ディリジェンスの実践~」を発行した。