アサヒグループHD、自グループのネットゼロ目標でSBTiの認定を取得

7月18日、アサヒグループHDは、2040年までにバリューチェーン全体でCO2排出量ネットゼロを目指す脱炭素の長期目標で、SBTネットゼロ認定(6月28日付)を取得したと発表した。また、農産物原料などの土地利用で発生する温室効果ガス排出量を対象としたFLAG排出量を含めた短期・長期目標においても、SBTの認定を取得した。FLAG排出量を含む短期・長期目標の認定は国内初の事例となる。

FLAGとはForest, Land and Agricultureの略称で、農業や林業、その他土地利用に関連するセクターのことである。FLAG排出量は、このセクターにおける非エネルギー起源の温室効果ガスを表す。

同グループは、気候変動への対応として2030年までにCO2排出量をScope1,2で2019年比70%削減、Scope3で2019年比30%削減、2040年までにScope1,2およびScope3でCO2排出量ネットゼロを目指している。今回の認定取得は、2月に更新した2040年ネットゼロの長期目標が、パリ協定で示された1.5度目標と科学的に整合したものとしてSBTiより認められたことを意味する。さらにFLAG排出量まで目標範囲を拡大し、2030年を達成期限とする短期目標、2040年を達成期限とする長期目標の双方でも認定を取得した。

従来から同グループは、FLAG排出量の削減に向けて、大麦の栽培方法の変更によるCO2排出量削減に関する調査や一次データの収集を実施したり、ビール製造工程で発生する副産物のビール酵母細胞壁由来の農業資材を活用して農業支援や技術開発を通じたCO2排出量削減に取り組むなど、具体的な活動を行っている。今後は1月より運営を開始したグローバル調達組織のAsahi Global Procurementを通じて、サプライヤーとの協業も強化するという。また業界団体等の外部パートナーとのさらなる共創により、自社単独のバリューチェーンを超えた業界全体でのCO2排出量削減を加速させていく考えも示した。

【参照ページ】
(原文)脱炭素の長期目標でSBTネットゼロ認定取得

関連記事

おすすめ記事

  1. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(前編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  2. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(後編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  3. 【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    2025-8-6

    【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    ※本記事は、2025年7月31日時点の情報を元に作成している。今後の動向により内容は随時更新される…

ピックアップ記事

  1. 2025-9-16

    セブン&アイHD、TCFD・TNFD統合開示を公表 財務インパクトの試算と自然資本分析も深化

    9月8日、セブン&アイ・ホールディングスは、「気候・自然関連情報報告書―TCFD・TNFD統合開示…
  2. ESGフロントライン:米SEC委員長がサステナビリティ開示基準へ懸念を表明

    2025-9-15

    ESGフロントライン:米SEC委員長がサステナビリティ開示基準へ懸念を表明

    ※本記事は、ESG Journal編集部が注目のニュースを取り上げ、独自の視点で考察しています。 …
  3. 2025-9-12

    ISOとGHGプロトコル、温室効果ガス基準を統合へ 世界共通言語の構築目指す

    9月9日、ISO(国際標準化機構)とGHGプロトコルが、既存のGHG基準を統合し、新たな排出量算定…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る