6月20日、内閣官房非財務情報可視化研究会は「人的資本可視化指針」の原案を発表した。
人的資本は無形資産の中核要素であり、「サステナビリティ経営」の重要要素である。 今や多くの投資家が、人材戦略に関する「経営者からの説明」を期待していることから、「人的資本の可視化」は不可欠となっている。
本指針は、特に人的資本に関する資本市場への情報開示の在り方に焦点を当てて、既存の基準やガイドラインの活用方法を含めた対応の方向性について包括的に整理した手引きとして編纂された。「人材戦略」の在り方について提言した「人材版伊藤レポート(2020年9月)」及び「人材版伊藤レポート2.0(2022年5月)」と併せて活用することで相乗効果が期待できるという。
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人的資本の可視化において、 企業や経営者に期待されていることは、自社が直面する重要なリスクと機会、長期的な業績や競争力と関連付けながら、目指すべき姿(目標)やモニタリングすべき指標を検討し、取締役・経営層レベルで密な議論を行った上で、自ら明瞭かつロジカルに説明することである。
そのために、経営の各要素と業績や競争力のつながりを明確化するフレームワーク(価値協創ガイダンス、IIRCフレームワーク等)を活用し、自社の経営戦略と人的資本への投資や人材戦略の関係性(統合的なストーリー)を構築する必要がある。
また、独自性のある取組・指標・目標は、ビジネスモデルや経営戦略との関連性、当該事項を重要だと考える理由、自社としての定義、進捗・達成度等の説明を重視し、開示することが求められる。
比較可能性を意識した開示項目は、可能な限り自社の戦略やリスクマネジメントと紐付けて、開示する必要がある。
本指針は同研究会によって、7月下旬に完成する予定となっている。
【参照ページ】
人的資本可視化指針(案)