TIAAの1.2兆ドルの資産運用会社であるNuveenは、責任投資に関する投資家の見解、活動、アドバイザーの関与を調査し、年次責任投資調査を発表した。調査結果によると、ESG投資に対する認識と関心が大幅に高まっており、責任投資による環境・社会的影響に関する情報が増えることで、ESG戦略へのシフトに向けたさらなる行動が促されている。
本調査では、ニューヴィーンは、投資可能資産が10万ドル以上あり、現在ファイナンシャル・アドバイザーと取引をしている米国在住の投資家1,000人以上を対象に、オンライン投票による調査を実施した。
本調査では、責任投資(RI)への関心と活動が高まっており、RIについて「とてもよく知っている」「ややよく知っている」と回答した人は57%、現在RIに参加している人は53%と、2019年の調査の44%から増加している。調査によると、配分は今後も増加すると予想されており、5年後にRIがポートフォリオの50%以上を占めると回答した人は、現在の19%から29%に、0%の配分は現在の31%から18%にとどまっている。
RIへの参加率は年齢層によって大きく異なり、ミレニアル世代の76%がESG投資家であると回答したのに対し、X世代の回答者は65%、ベビーブーマー世代は4分の1以下であることがわかった。
ESG投資への関心が高まる中、本調査では、投資家がRI戦略への配分を検討する際の推進力と主要因を調査した。投資家がRIに参加する理由として最も多く挙げられたのは、投資パフォーマンスの向上で、53%が報告した。現在ESG投資に参加している投資家のうち、大多数(約90%)が市場と同等かそれ以上のリターンを得ていると回答している。その他の理由としては、ファイナンシャルアドバイザーからの提案(50%)、リスク管理の改善(40%)、価値観との一致(34%)などが挙げられる。
Nuveenの調査によると、投資家の行動は環境・社会問題への意識によっても左右されるようで、29%の投資家が気候変動リスクへの懸念から低炭素ソリューションへの投資についてアドバイザーに相談したと回答し、58%が炭素排出量ゼロの投資のみを対象とした投資戦略への移行により興味を持つと回答している。社会面では、回答者の25%が、多様性と包括性への懸念から投資方法を変更したと回答している。
本調査では、情報の充実がESG投資への参加を促進する可能性が高いことがわかった。現在RIに参加していない投資家の半数以上が、投資によって発生する炭素排出量を知ることで、RIの選択を増やすことができると回答している。また、60%近くの投資家が、投資による具体的な社会的・環境的便益が見えにくいと回答し、そのうちの73%が、これらの便益が見えやすくなれば、もっとRIに投資するだろうと答えている。
ESG投資に関する認識や知識は、アドバイザーにとってますます重要となっているようた。回答者の80%が、投資家と責任投資について議論するアドバイザーはより前向きであることに同意し、79%が、世界により良い影響を与えるような投資を積極的に支援してくれるアドバイザーには、より忠実であろうと報告している。82%の投資家が、ポートフォリオにおけるRIの配分を決定する際に、アドバイザーからの助言を利用すると回答している。
【参照ページ】
(原文)Education is key to driving investor interest in responsible investing
(日本語訳)投資家のESG投資への関心が高まり、より良い情報がアロケーションを促進。Nuveen調査。