
4月3日、炭素除去技術を手がけるTerradotは、Microsoftと2026年から2029年の間に12,000トンのCO2を除去する契約を締結した。本契約は、商業的な強化風化(Enhanced Rock Weathering, ERW)プロジェクトとしては過去最大規模の科学的モニタリングを実施する点で注目される。Microsoftの支援により、Terradotはブラジルでの商業展開と並行して高度なモニタリング体制を開始しており、2025年後半には初のカーボンクレジット発行を見込んでいる。
本契約は、GoogleやFrontierとの累計30万トンの除去契約に続くもので、Microsoftが出資する「Climate Innovation Fund」を含む5,400万ドル(約80億円)のシリーズA資金調達を受けて成立した。Microsoft側は、「ERWが安全かつ費用対効果の高い炭素除去手法として拡大可能かを検証する目的」と説明しており、土壌改良による農業利益も期待している。
Terradotは現在、ブラジルの農地2,000ヘクタールにわたり5万トンの岩石を散布しており、近隣の採石場から半径50km以内の石材を活用することで効率的な展開を実現している。加えて、熱帯気候による風化速度の加速と、農業との相乗効果により、地球規模でのギガトンスケールの拡大が視野に入る。スタンフォード大の専門家らと連携して進められる観測体制により、信頼性の高いMRV(測定・報告・検証)手法の確立も期待されている。