
3月31日、内閣府の南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループは、南海トラフ巨大地震の最新の被害想定を発表した。今回の想定は、過去最大規模の揺れと津波を組み合わせたもので、従来の想定を上回る甚大な被害が見込まれている。
地震動は5つのシナリオのうち「基本ケース」と「陸側ケース」、津波は11シナリオから東海、近畿、四国、九州に大きな影響を与える4つのケースを採用し、季節や時間帯、風速など複数の条件下で被害を試算した。
特に被害が深刻な「陸側ケース・冬・深夜」の想定では、地域別の死者数は最大で東海約29.8万人、近畿約28.2万人、四国約23.8万人、九州約24万人にのぼる。全壊・焼失棟数は最大で234万~235万棟規模と推計された。
ただし、建物の耐震化を進めることで死者数は約77%減、家具の転倒防止策によっては約66%減、感震ブレーカー設置で火災死者は約52%減と見込まれており、被害軽減策の有効性が示された。
また、津波避難の意識や行動の差により死者数に最大で約14倍の開きが出るとの推計もあり、迅速な避難行動の重要性が改めて浮き彫りとなった。
今回の想定は、過去の大規模地震や最新の学術知見、建築物・人口・ライフライン等の最新データを反映し再計算されたものである。想定項目は建物被害、津波、火災、人的被害、ライフライン、交通機関、生活影響、災害廃棄物など多岐にわたり、実生活への広範な影響が想定されている。