プラ廃棄物アップサイクルのスタートアップ会社が約10億円を調達、事業規模拡大へ

2月6日、PETおよびポリエステル繊維廃棄物のアップサイクルを提供するスタートアップであるMacroCycle Technologiesは、650万ドル(約10億円)のシード資金調達を完了した。この資金を活用し、事業規模を50%拡大し、パイロット工場の施設を拡張して、顧客向けにアップサイクルされたPETおよびポリエステル樹脂を開発する計画である。

プラスチックの生産と廃棄は世界のCO2排出量の5%以上を占めるが、現状では15%しかリサイクルされず、大部分は埋立地や水域に廃棄されるか焼却されている。また、従来のリサイクル技術は廃棄物の汚染やエネルギー消費の問題により、化石燃料由来のプラスチックの代替として商業的に採用されるには至っていない。現在のリサイクル手法は、プラスチック廃棄物をモノマーや化石燃料にまで分解するが、これには大量のエネルギーを要するため、化石燃料由来のプラスチックと競争するにはコスト面で不利なのである。

一方、同社の技術はプラスチックを分解せずに元の高品質の「バージン・グレード」にアップグレードすることが可能である。この技術は、無害な試薬を用いた同社独自の化学プロセスを採用し、化石燃料由来のPET生産と比較して80%のエネルギー削減、従来の化学的・生物学的リサイクル技術と比較して50~75%の設備投資削減を実現する。

MacroCycleは、化粧品、繊維、家庭用品、食品・飲料業界など、包装廃棄物の多い企業や、高級・ファストファッションブランド向けにPETボトルやポリエステル繊維廃棄物をリサイクルすることを目指している。最初のパイロット工場では、大規模な製品検証を行い、MacroCycleのリサイクルPET樹脂を100%使用したボトルや衣類の生産を開始する予定である。

【参照ページ】
(原文)MacroCycle Raises $6.5M to Commercialize Plastic Upcycling Technology with 80% Less Energy
(日本語参考訳)マクロサイクル、エネルギーを80%削減したプラスチックアップサイクル技術の商業化に向け650万ドルを調達

関連記事

おすすめ記事

  1. TCFD・IFRS・CSRDの移行計画とは:業界別に考える開示ポイント

    2025-7-10

    TCFD・IFRS・CSRDの移行計画とは:業界別に考える開示ポイント

    ※本記事は2024年10月の内容にGX-ETSに関する内容を追記し再掲載している。(2025年7月…
  2. TNFD開示を支援する 主要ツール比較と選定ポイント

    2025-6-11

    TNFD開示を支援する 主要ツール比較と選定ポイント

    2024年にTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース(Taskforce on Nature-…
  3. 進化するサステナビリティ開示 ― 傾向から考える“自社の対応状況”

    2025-6-6

    進化するサステナビリティ開示 ― 傾向から考える“自社の対応状況”

    サステナビリティ情報開示の高度化が急速に進んでいる。TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)…

ピックアップ記事

  1. SSBJ公開草案:気候変動開示の準備状況を確認!簡易チェックで早期対応を

    2025-7-29

    SSBJ公開草案:気候変動開示の準備状況を確認!簡易チェックで早期対応を(再掲)

    ※2024年12月21日公開済みの記事(2024年11月時点の情報を基に作成された)に2025年7…
  2. 2025-7-29

    企業の88%がサステナビリティを価値創出と認識、気候リスクへの備えも加速

    モルガン・スタンレーの「Sustainable Signals: Corporates 2025」…
  3. GHGプロトコルの改訂とは~カーボンニュートラル実現への新たな方向性

    2025-7-28

    GHGプロトコルの改訂とは?カーボンニュートラル実現への新たな方向性(再掲)

    ※本記事は、2025年2月に発行した記事に最新のGHGプロコトル更新内容を一部修正・追記し再掲載し…

““登録03へのリンク"

ページ上部へ戻る