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2月5日、ノルウェーを拠点とするエクイノール(Equinor)は、エネルギー転換に向けた投資計画を大幅に見直し、再生可能エネルギーおよび低炭素ソリューション分野での投資を削減する方針を明らかにした。この動きは、株主価値の最大化を目指し、収益性の高いプロジェクトに集中する戦略の一環として実施される。
エクイノールは2025年から2027年の間に、再生可能エネルギーと低炭素ソリューションへの総投資額を約50億ドルに削減する計画だ。この削減にはプロジェクトファイナンスも含まれている。また、2030年までの再生可能エネルギーの発電能力目標を10〜12GWに引き下げた。
この変更により、再生可能エネルギー部門のポートフォリオは、より収益性の高いプロジェクトに集中され、ライフサイクル全体で10%以上の投資収益率を達成することが期待されている。具体的には、同社はデンマークのØrstedやノルウェーのScatecの資産を活用し、戦略的に調整された再生可能エネルギー事業を展開していく方針だ。
低炭素ソリューションに関しても、エクイノールは市場状況に適応しつつ、投資の優先順位を見直している。同社は現在、炭素回収貯留(CCS)の分野でリードしており、既存プロジェクトを含めた年間貯留能力を2,300万トンとし、2035年までに3,000万〜5,000万トンの貯留能力を達成する目標を維持している。
加えて、2030年までの炭素強度削減目標を6kg/BOE(原油換算バレル)に設定し、既存の石油・ガス事業の効率性向上を通じて、持続可能な価値創造を推進する姿勢を示した。
エクイノールはこれまで、2030年までに総資本支出の50%を再生可能エネルギーと低炭素ソリューションに振り向ける目標を掲げていたが、今回の見直しでこの目標を撤回することを発表した。これにより、同社は従来の目標から柔軟性を持たせ、現実的な市場状況とフレーム条件に対応する形での事業運営を目指す。
今回の見直しにより、エクイノールは株主還元をさらに強化する方針を示している。同社は、2025年から2027年のフリーキャッシュフローを230億ドルに引き上げる見通しを立て、より競争力のある資本配分を可能にする財務体制を確立する計画だ。
エクイノールは引き続きエネルギー転換に取り組む一方で、現実的な収益性と市場の状況に基づく柔軟なアプローチを採用し、株主価値の最大化を図る戦略を進めていくとしている。
【参照ページ】
(原文)Equinor fourth quarter and full year 2024 results
(日本語参考訳)エクイノール第四四半期および2024年の決算