3月12日、グローバル・プロフェッショナル・サービス企業であるデロイトとタフツ大学フレッチャー・スクールが発表した新しい調査によると、投資家は持続可能性に関連するリスクを最小化し、機会を生かすことの両方を求めており、規制上の要件、パフォーマンスの向上、人材誘致などの要因を挙げている。
デロイトとフレッチャー・スクールは、2023年1月から12月にかけて、北米、欧州、アジアを含む各地域のアセットオーナー、アセットマネージャー、投資顧問会社(CEO、CIO、戦略責任者、その他の上級投資幹部を含む)1,000人以上を対象に調査を行い、サステナビリティと投資のリーダーへのインタビューも実施した。
本調査では、持続可能な投資方針を策定している投資家の割合が大幅に増加していることが明らかになった。その他の投資家のほぼ全員が、「緩やかに定義されたESG投資方針」を策定しているか、持続可能な投資方針を策定する計画があると回答しており、方針の策定計画がないと回答した投資家はわずか1%だった。
米国では反ESGキャンペーンが盛んに行われているが、米国のプロ投資家の83%がESG投資方針を策定しており、5年前の27%から増加している。欧州の投資家は75%で、米国の投資家にやや遅れをとった。
本調査では、投資家が投資の意思決定プロセスに持続可能性要因を組み入れる要因として、上位3つを挙げてもらったところ、最も多く挙げられたのは、規制上の要件(39%)、財務業績の改善(36%)、ステークホルダーからの影響や圧力(34%)だった。興味深いことに、米国の投資家は、持続可能性要因を組み入れる最も一般的な推進要因として規制上の圧力(39%)を挙げている一方で、人材の維持・誘致を重要な推進要因として挙げる傾向が強く、37%で2位だった。
さらに、83%以上の投資家がファンダメンタル投資分析においてサステナビリティ情報を定期的または時折利用していると回答している一方で、インタビューに応じた投資家は、ESG要素が株式価格に効果的に組み込まれているとはまだ考えていないと回答している。
調査ではまた、組織が持続可能な投資を実施する能力を阻害している主な障壁を評価し、最も多く挙げられた課題には、ESG情報の統合方法が明確でないこと、ESG格付けデータの不整合性や比較不可能性などがあり、その他の上位要因には、規制の過不足、コスト制約、ESG目標を達成するための企業の明確な戦略の欠如などがあった。
本調査では、投資家がESGデータソースに寄せる信頼と、それらのデータソースの利用との間に強い相関関係があることも明らかになった。投資家へのインタビューによると、最近導入されたサステナビリティ情報開示基準や規制によって、一貫性や標準化が進み、ESGデータに関する課題の多くが解決されることを期待しているという。
【参照ページ】
(原文)How can the enterprise earn investor trust through sustainability disclosures?
(日本語参考訳)持続可能性の開示を通じて、企業はどのように投資家の信頼を得ることができるのか。