11月10日、シンガポールの中央銀行および金融規制当局であるシンガポール通貨監督庁(MAS)は、ESGおよびサステイナブルに焦点を当てたデータプラットフォームの開発において、金融技術プロバイダーや金融業界の参加者と提携する取り組みを発表した。
今回の取り組みは、MASが昨年立ち上げたプロジェクト・グリーンプリントの一環として行われるもので、テクノロジーとデータを活用することで、グリーンでサステナブルな金融に資金を動員し、より透明性、信頼性、効率性の高いESGエコシステムを構築することを目的としている。MASはプロジェクト・グリーンプリントの下で、ESGの開示、データオーケストレーション、登録、相互接続などの分野を対象に、4つの相互運用可能なプラットフォームの開発を目指している。
シンガポールは、アジア市場で拡大するESGおよびサステナブル・ファイナンスの機会を利用しようとする金融サービス会社やESGに特化したデータプロバイダーのハブとして浮上している。9月には、ロンドン証券取引所グループ(LSEG)が、シンガポールにサステナブル・ファイナンス専門のイノベーションユニットを立ち上げ、今年初めには、ムーディーズ・コーポレーションが、2月にシンガポールに独自のESGソリューショングループのオフィスを設立したのに続き、ESGを先導することを目的としたシンガポールオフィスの拡大に向けた一連の取り組みを発表した。
提案されているプラットフォームには、シンガポール証券取引所と提携して開発されたGreenprint Common Disclosure Portalがある。これは、異なる報告フレームワークに入力されたデータを変換することで、ESG情報の開示を簡素化することを目的としている。Greenprint Data Orchestratorは、異なるセクターのプラットフォームや信頼できるデータソースからESGデータを集約し、新しい分析主導のデータインサイトを実現して、投資や融資の意思決定をより良くサポートする。Greenprint ESG Registryは、Hashstacs Pte Ltd (STACS)とのパートナーシップにより、ESG認証を分散型台帳に記録・管理するものだ。これらの新しいプラットフォームの試験運用は、2022年の後半に完了する予定である。
また、MASは、グリーンプリント・データ・オーケストレーターとESGレジストリのデータを利用して、建築・建設セクターとパーム油セクターを対象としたユースケース・プロジェクトに取り組むことを表明した。これは、グリーンおよびサステナビリティに関連した貿易金融を促進するためのもので、銀行がグリーンおよびサステナビリティに関連した金融フレームワークで設定された基準を満たしていることをより確実にするために、金融取引をデジタル化することを可能にする。
【参照ページ】
(原文)MAS and Industry to Pilot Digital Platforms for Better Data to Support Green Finance
(日本語訳)シンガポールの金融規制当局、ESG開示・データプラットフォームを開始