PRI、自然分野の集団的エンゲージメント「スプリング」で最初のターゲット企業を発表

2月7日、国連責任投資原則(PRI)は2024年第2四半期に正式発足する自然分野の集団的エンゲージメント・イニシアティブ「スプリング」で、最初のターゲット企業40社を発表した。日本企業からは2社が対象となった。

スプリングは、PRI署名機関129団体から賛同を得ており、運用資産総額は9兆米ドル(約140兆円)に達する。賛同機関には、AP2、AP3、AP7、AVIVA Investors、Brunel Pension Partnership、Pension Danmark、ゼネラリ保険、ストアブランド、Achmea、SCOR、マニュライフ・インベストメント・マネジメント、Mirova、ロックフェラー・アセット・マネジメント、Robeco、スコティッシュ・ウィドウズなどが含まれる。

日本企業からは、かんぽ生命保険、日本生命保険、第一生命保険、住友生命保険、大同生命保険、太陽生命保険、三井住友トラスト・アセットマネジメント、野村アセットマネジメント、大和アセットマネジメント、三井住友DSアセットマネジメント、りそなアセットマネジメント、T&Dアセットマネジメントが賛同している。

スプリングは、最初の取り組みとして森林破壊に焦点を当てることを決定した。森林破壊は、気候変動や人権侵害だけでなく、世界の生物多様性喪失にも大きく関与しているためである。今後は、中長期的に段階的に他の自然分野のテーマも検討していく予定としている。

今回のターゲット企業の指定方法には、将来の森林喪失と土地劣化のリスクが高い優先地域の特定や、政策プロセスの重要性の特定など、3つの観点が用いられた。結果として、欧州、米州、アジア太平洋、アフリカから計40社の企業が選ばれた。

PRIは、スプリングの対象企業として「Nature Action 100(NA100)」や「金融セクター森林破壊アクション(FSDA)」の活動とも協調しており、これらのイニシティブが補完関係にあることを強調している。NA100は企業の開示に焦点を当てているのに対し、スプリングは政策エンゲージメントを重視している。FSDAは農業にフォーカスしている一方、スプリングはセクター横断であり、それぞれのイニシアティブが異なる観点から森林破壊の問題に取り組んでいる。

【参照ページ】
(原文)Action on nature: Spring announces first batch of focus companies
(日本語参考訳)PRI、自然分野の集団的エンゲージメント「スプリング」で最初のターゲット企業を発表

関連記事

おすすめ記事

  1. 【最新】TISFDとは?概要・指標から国内外基準との関連まで徹底解説

    2025-9-11

    【最新】TISFDとは?概要・指標から国内外基準との関連まで徹底解説

    気候変動や自然資本など、環境領域に関する開示が進みつつある中、次なるテーマは「社会」の領域。TIS…
  2. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(前編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  3. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(後編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…

ピックアップ記事

  1. 2025-10-29

    イベントレポート サステナビリティ経営フォーラム2025

    『本質に迫る対話とデータ活用 ~信頼を築く情報開示と戦略の再構築~』 ESG Journal…
  2. 【2026年本格適用】CBAM(炭素国境調整メカニズム)への実務対応ガイド

    2025-10-27

    【2026年本格適用】CBAM(炭素国境調整メカニズム)への実務対応ガイド

    2026年1月からEUでは炭素国境調整メカニズム(Carbon Border Adjustment…
  3. 2025-10-27

    GRIとCDP、環境報告の共通化へ―新マッピングでデータ活用を促進

    10月21日、国際的なサステナビリティ報告基準を策定するGlobal Reporting Init…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る