1月15日、運用資産総額4兆ドル(約591兆円)超を代表する27の機関投資家グループは、エネルギー大手であるシェルに対し、同社製品の使用から生じる排出量を削減するためのパリ協定に沿った中期目標を設定するよう求める株主決議を共同で提出したと発表した。
石油・ガスに特化した株主アクティビスト・グループ「フォロー・ディス」が主導する本決議案は、アムンディ、NEST、スコティッシュ・ウィドウズ、キャンドリアムを含む投資家によって提出された。投資家グループは合計でシェル株の約5%を保有している。
本決議案は、シェルに対し、エネルギー製品の使用によるスコープ3排出量削減の中期目標を、地球温暖化を2℃以下に抑えるというパリ協定の目標に合わせ、気温上昇を1.5℃に抑える努力を追求するよう求めている。また、この決議では、目標達成のための戦略を取締役会に一任するとしている。
これは昨年、株主グループが同様の決議案を提出し、シェルの2023年総会で20%の支持を得た。今回の決議案では、昨年の「2030年目標」を「中期目標」に変更し、支持声明の内容を排出量のみに焦点を当てたものに書き換えるなど、主な変更点が盛り込まれている。
2020年、シェルは2050年までに事業活動においてネット・ゼロを達成するというコミットメントを発表し、2021年には “Powering Progress “戦略を打ち出し、再生可能エネルギーやクリーンエネルギー・ソリューションへの投資を含む取り組みにより、2050年までにスコープ1、2、3の排出量全体でネット・ゼロのエネルギー事業となるという目標を達成する方法を詳述した。
同社は、スコープ1と2の排出量を削減する2030年目標を設定しているが、スコープ3の中間目標の設定は避けている。スコープ3の排出量は、同社のカーボンフットプリントの95%以上を占めており、「販売製品の使用」が約74%を占めている。
シェルのアンドリュー・マッケンジー会長は、昨年発表された「エネルギー転換の進捗報告書」の中で、「取締役会はスコープ3の絶対排出量目標を設定することを検討したが、それは株主の経済的利益に反し、地球温暖化の緩和には役立たないことがわかった」と述べた。シェルは、より野心的なスコープ3目標を実施するためには、石油・ガス製品の販売を削減する必要があり、顧客需要の変化がなければ、”事実上、競合他社に顧客を譲ることになる “と付け加えた。
【参照ページ】
(原文)Shell Investors Unite With Activist Group Urging Greater Carbon Emissions Cut
(日本語参考訳)シェル投資家、炭素排出量削減を求める活動家グループと結束