カナダ年金基金、2030年までに4,000億ドルの気候投資

6月19日、カナダの大手機関投資家であるケベック州貯蓄投資公庫(CDPQ)は、2050年ネットゼロ達成に向けた次なる一歩として、2025〜2030年の新たな気候戦略を発表した。これは脱炭素化をより一層推進し、移行関連投資を拡大することを目的としたもので、2030年までに4,000億ドル(約57兆円)規模の気候アクション投資を掲げている。

CDPQはすでに、2017年に設定し2021年に引き上げた気候目標を2024年末時点で上回っており、ポートフォリオ全体のカーボン・フットプリントを約50%削減し、世界全体の排出量が6%増加した同時期と比較して、先進的な成果を上げている。新戦略では、脱炭素に取り組む企業や、再生可能エネルギー、自然資本、レジリエンス強化型のインフラなどを中心とする「気候ソリューション」への投資が軸となる。

戦略は2つの柱から構成される。ひとつは「気候変動を事業モデルに組み込む企業への投資」で、企業の脱炭素目標達成を資本の力で後押しする。もうひとつは、「将来志向の気候ソリューションへの投資」で、再エネやEVなどの低炭素資産、森林や有機農業といった自然ベースの解決策、気候リスクへの適応ソリューション、さらには知的財産やソフトウェアといった移行を可能にするツール群を含む。

CEOのシャルル・エモンは「カーボン排出量の削減だけでなく、経済全体の転換を促す役割こそが我々の責務だ」と語り、脱炭素を巡る信念を改めて強調した。CDPQは国際的なベストプラクティスに基づく「トランジションファイナンス・フレームワーク」も併せて公表しており、気候変動への対応と長期的な投資価値創出の両立を狙う。

(原文)La Caisse announces its 2025-2030 climate strategy
(日本語参考訳)La Caisse、2025~2030年の気候戦略を発表

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