
6月23日、EU理事会は企業のサステナビリティ報告(CSRD)およびデューデリジェンス(CS3D)の義務簡素化に関する交渉方針で合意した。企業の報告・遵守負担を軽減し、中小企業への義務波及を最小化することで、EUの競争力を高めることが目的だ。今回の方針は、欧州委員会が2月に提案した「オムニバスIパッケージ」の一環で、法的確実性の向上と事業環境の改善を目指す重要な施策となる。
CSRDでは、従業員数の基準を1000人以上、売上高の基準を4億5000万ユーロ超に引き上げ、上場中小企業は適用対象から外す。CS3Dでは、適用基準を従業員5000人、売上高15億ユーロ超とし、直接取引先(ティア1)までのリスクベースの義務に限定。包括的なバリューチェーンの特定は不要とし、合理的に入手可能な情報に基づく対応を求める。さらに気候変動対策では、移行計画義務の適用を2年延期し、監督当局が企業への助言を行う仕組みを導入。CS3Dの導入期限は2028年7月26日に延期された。今後、欧州議会が独自の方針を決定次第、理事会と議会間で交渉が開始される予定だ。