11月16日、アクセンチュアが発表した新しい調査によると、2016年のパリ協定の実施以降、世界の大企業の4分の3以上が業務上の排出原単位(売上高当たりの排出量)の削減に成功しているが、2050年までにネット・ゼロ・エミッションを達成できる企業は5分の1に満たない。
本調査「Destination Net Zero」において、アクセンチュアは世界の売上高上位2,000社の上場・非上場企業を調査し、ネット・ゼロへのコミットメント、脱炭素化手段、事業活動におけるスコープ1と2の温室効果ガス排出量削減の実績を分析した。
本報告書によると、ネット・ゼロ・エミッションにコミットする企業数は増加の一途をたどっているが、その増加ペースはこの1年でやや鈍化している。この指標では、欧州企業が圧倒的にリードしており、2023年にネット・ゼロを約束する企業は61%で、2021年の37%から急増している。一方、北米企業は現在28%で遅れをとっており、前年比横ばい、2021年の23%から増加している。
排出量フットプリントに取り組む企業の数はここ数年で大幅に増加しており、排出量を報告している企業の77%(サンプル全体の約70%)が2016年以降、排出量原単位を削減している。これは2016年までの5年間に排出量原単位を削減した企業のほぼ2倍の割合である。しかし、事業の成長を調整しない場合、2016年以降に事業活動の絶対排出量を削減した企業は約半数にとどまり、結果はあまり芳しくない。
業種別では、公益事業部門が2016年以降最も大幅に排出量を削減しており、スコープ1および2の排出量は年間5%減少し、68%の企業が排出量を削減している。一方、ソフトウェアおよびプラットフォーム企業は、排出量が平均15%増加し、排出量を削減している企業は35%にとどまっている。
全体として、2050年までにネット・ゼロに到達する見込みがあると評価されたのは、わずか18%であった。地域別では、欧州企業の24%が2050年までにネット・ゼロを達成する見込みであるのに対し、北米では20%、その他の地域では13%に過ぎなかった。欧州企業の67%が2016年以降に排出量を削減しているのに対し、北米では53%、その他の地域では40%であった。
本報告書によると、事業活動の排出量の70%は各業界の排出量上位20%の企業によるものであるが、これらの企業は、意欲ではリードしているものの行動では遅れをとっている。排出量上位企業の42%がネット・ゼロ目標を設定しているものの、2016年以降に実際に排出量を削減したのは31%に過ぎず、排出量を削減した企業全体の50%を大きく下回っている。
また、大半の企業が少なくともいくつかの脱炭素化手段を採用しており、82%がエネルギー効率対策を、80%が廃棄物削減を、79%が自然エネルギーへの転換を、68%が循環原則を採用していることを明らかにした。アクセンチュアが特定した20の脱炭素化手段のうち、約40%の企業が少なくとも半分を採用し、4%の企業が15以上の脱炭素化手段を採用していることがわかった。10以上の手段を採用している企業は、排出量削減を報告している可能性が高い。
【参照ページ】
Destination net zero