7月10日、住友林業の傘下で米国の森林アセットマネジメント事業会社Eastwood Forestsは、森林ファンドEastwood Climate Smart Forestry Fund Iを組成し、運用を開始した。 本ファンドの資産規模は約600億円で運用期間は15年の計画である。
本ファンドに参画するのは、ENEOS、大阪ガス、東京センチュリー、日本郵政、日本郵船、芙蓉総合リース、三井住友銀行、三井住友信託銀行、ユニ・チャームと住友林業グループの日本企業10社。 カーボンクレジットのマーケットや制度が先行している米国で木材販売及びカーボンクレジットの創出・販売を行い、今後2027年までに北米を中心に約13万haの森林を購入・管理する予定である。
温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」では、世界共通の長期目標として世界平均気温の上昇幅を産業革命前から2℃より十分に低く保ち、1.5℃に抑える努力を追求することが示された。日本政府も「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」と宣言し、各企業でCO2などの温室効果ガスの排出量をネット・ゼロにする取組が加速している。
特に、CO2吸収源としての森林への重要度は高まっており、2021年のCOP26で採択された「グラスゴー気候合意」ではCO2吸収源や炭素の貯蔵庫として森林の重要性について 明記された。本ファンドでは適切な森林管理から生み出されるCO2吸収量を森林由来のカーボンクレジットとして発行、還元していくことで脱炭素社会の実現に向けたオフセット需要への貢献を果たす。
また、森林はCO2吸収源としてのグローバルな気候変動対策だけでなく社会課題に対する自然を基盤とした解決策Nature-based Solutions(NbS)として期待されている。同社は、 本ファンドを通じてNbSへの資金供給を促し、生物多様性、水資源の保全の拡大につなげていくと述べた。
住友林業グループと参画企業は本ファンドを通じて森林のCO2吸収能力を高め、年平均約100万トンのCO2吸収を新たに生み出し、質の高いカーボンクレジットの創出・還元で 脱炭素社会の実現を目指している。また、生物多様性の維持や水資源の保全といった自然資本としての森林の価値を高めていくと述べた。