6月14日、国土交通省は、第211回国会(通常国会)において、貨物自動車運送事業法の一部改正が行われたことを発表した。時間外労働規制が適用されるまでの間の時限措置が延長される。
日本では、2018年に働き方改革関連法が成立し、時間外労働の上限規制が大企業では2019年4月から、中小企業では2020年4月から適用された。運送業や建設業、医師などについては、5年間の猶予が与えられ、2024年4月から上限規制が適用されることになっている。運送業の時間外労働の上限は年960時間となる。
その際、平成30年の議員立法において、法令適用までの時限措置として、「荷主対策の深度化」と「標準的な運賃」の制度を創設した。国土交通大臣が荷主に対して、法令遵守に係る働きかけや要請等を個別にできる権限を付与するとともに、適正な運賃の収受を実現させる制度を導入することで、労働条件を改善し、安定的な輸送サービスを確保するための取組を行っていた。
しかし、新型コロナウイルスや原油価格高騰などの影響を受け、トラック業者の経営状況はいっそう悪化したと判断。今回の法改正では、「荷主対策の深度化」と「標準的な運賃」の2制度を時限措置ではなく「当分の間」の措置とし、期限を延長することが決定した。